H-D FLH 1979
WEST VILLAGE CUSTOM CYCLES
らんらんと光る
生まれ年の悪童
ひとたび跨れば、ハンドルサイズは肩幅もない。そしてそこを頂点にしたスキニーなフロント周りは、スーパーナローなトリプルツリーが主体となって構築される。きわどく追い込んだ細身の輪郭にセットされたトライアル用オフロードタイヤもまた、過不足ないものだ。
そもそも三重県の『ウエストヴィレッジ』が腕をふるう以上、お行儀の良い優等生が出来る見込みはない。何をしてもクレバーにこなす退屈な一行とは違って、いつもピリリとしたスパイスが効く。それは悪童の攻撃性を思わすものに近く、野性味を帯びた眼光が、らんらんと光を帯びる。
始めに、主人の西村さんに製作の経緯を尋ねると、どういうカスタムにして欲しいという要望からではなく、家にうまく仕舞えるサイズ感でお願いしたいということだったそうだ。つまりは、置き場所ありき。広い駐車場を持つオーナーならつゆ知らず、限られたスペースに宝を収納するにはどうするべきか。発端はそこである。
「ショベリジに乗りたいいうのと、置き場所が狭いんでそこに入れられるサイズ感ですよね。だからハンドルも狭くみたいな。あとはこの辺であまり見ない、違ったことをした方が面白いんじゃないのってことでスーパーナロートリプルを使ってます」
注文で圧倒的に多く、現在もオーダーが溜まっているのは74スプリンガーフォークだが、三重県ではまだそんなに見かけず新鮮さもあることでスーパーナロートリプルとテレスコフォークを選択。また、細身過ぎてフロントブレーキを付けることが出来ない為それをリアへと移行。このリアのダブルブレーキ仕様は同店がよくやる手法だ。
「当然ブレーキ付かなくなるんで、それは最近ウチがはまってる後ろのダブルキャリパーで対応するっていう感じです。普通にフロントのマスターから後ろまでブレーキホースを持ってってリアとは独立させて付けてます」
とはいえ、基本的に足操作のリアブレーキは使わないと言う。チョッパーだったらハンドブレーキだけで十分。いらんのとちゃうかなと思うぐらいだと、ユーモラスに話す。そんな同店では、出来るだけお客さんには自分の生まれ年のバイクを薦める傾向にあり、そこがひとつの特色だ。
はたからすればたかが生まれ年でも、当の本人にとってそれは、年輪を刻むほどに格別の意味を持つものとなる。ならば。機械に感情移入するのはナンセンスかもしれないが、どうせならいつまでも共に、すこやかでありたい。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1979 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルは一文字のストレートバーをごくタイトに製作。新品グリップも迷いなくカットしてフィッティング。
FRONT FORK
米国カリフォルニア発のマリンズチェーンドライブ製スーパーナロートリプルを選択。35φフォークを装着する。
FRONT TIRE
ダンロップ製トライアル用オフロードタイヤを履かす。アウターチューブはノーマルを旋盤でスムージング。
ENGINE
ストックエンジンにEキャブをセット。エアカバーは鋳物専科のFORK製で、ポイントカバーはオリジナル。
MUFFLER
マフラーはミッドハイのポーカーパイプ。リアブレーキはダブル仕様で、下側ミッドウエスト製はフロントと連動。
SISSY BAR
いかにオーソドックスにまとめるかがポイントだったと語る。シッシーバーやサイクルフェンダーは定石を踏む。
BUILDER’S VOICE
WEST VILLAGE CUSTOM CYCLES
住所 | 三重県津市幸町15-27 |
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電話 | 059-222-1185 |
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SHOP | WEST VILLAGE CUSTOM CYCLESのショップ紹介 |
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