H-D XL883L 2010
INFINITY,
連続して物語を推進する
ストリートスクランブラー
いま、雪だるま式に知名度を膨らませているショップだ。しかもそれは、ある程度の大きさだった雪だるまから始まっているため、直近はごろんごろんと両手に力を込めて押し込み更に肉付けしていくあの感じである。なので、自然とその重みは肥大し、安定感が昇段されてゆく。
心気充実した作り手として姿を現して以来、数々の巧緻なカスタムを手掛けてきた土野さんだが、今回はストリートスクランブラーをイメージした一台を製作。選んだ車種はこの手のスタイルでは一般的なキャブ車ではなくインジェクションモデルである。
「一番はマフラーですかね。作り込みもそうですけどエンジンがラバーマウントなのでステーがフレームから取れないんです。なのでそこをちょっと工夫してFXR用のラバーマウントを使ってます」
土野さんが好きな、全体をナロースタイルへ導くために極限まで内側へと寄せた造作。そして直接フレームにマウントせず浮いた状態で取り付けたマフラーのセットアップと、デザインと機能性の双方の確保に熱量が注がれた。次に、全体のバランスである。こちらは元々が全体的にごついフォームだったため、それをいかに細くバランス良く見せるかに留意された。
「サイズがEVOスポーツに比べるとひと回りぐらい大きくなってるんです。それでどうしても後ろ回りが太くなってしまうんでシートレイル付近を細く作り直して、あとそれに合わせてタイヤを細くするとアンバランスになるのでインチアップで軽快に見せてます」
また、欧州製をベースにしたガスタンクはインジェクション用に加工。ガソリンフューエルポンプが内部に入るよう周囲をごっそりとくり抜いて成形し、キャップ位置を右側に変更してマウントタブを配備。こうした一連の周到な作り物は氏にとっての日常茶飯事だが、より声のトーンを高める箇所が配線処理である。
「とにかく配線周りを見て欲しいです。インジェクションだから沢山ありますけどそれをいかに見せないようにするか。ウチの得意分野なんで(笑)」。メインハーネスはメインフレームの中に隠し、スロットルボディ近辺に集約している分も同じくメインフレームに格納された。
全体のナロー化を機軸にして、マフラーマウントやリア周りの再製、各パーツの構築、そして配線処理。こうした巧みな処置が連続するパラレリズムの手法が、この水際立った物語に見えざるリズムを醸し、絶妙の推進力を与えている。
HARLEY-DAVIDSON XL883 LOW 2010 DETAIL WORK
HANDLE
FORK製ナローライズクランプ&バーを装着。目立たないように被覆された丁寧な配線処理が同店の持ち味。
GAS TANK
英国BSA製バンタムとおぼしきタンクを素材に加工。キャップ位置を右にし、フューエルポンプを内蔵する。
ENGINE
ロッカーカバーはEMDで、エアとポイントカバーはFORK製。カムカバーをカットしてワイルドに演出。
MUFFLER
複雑な曲線を描くマフラーは出っ張らないようにナロー化し、FXR用を使ってラバーマウントに対応させ装着。
BATTERY CASE
スイングアーム下にバッテリーを移設。ヒューズ用仕切りを備えたケースに収納。ダービーカバーはFORK製。
SEAT RAIL
シートレイルを作り直しアトリエチェリー製シートをセット。フェンダーはクーパースミスィング製を採用。
BUILDER’S VOICE
INFINITY,
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