H-D XL883
BIKE GARAGE KOKORO
洞察力が肥大する
充足のムーンサルト
矢継ぎ早に送り込んでくるカスタムの威力がどれも度を超えている。ついこの間のショーバイクでアワードを取ったと思ったらすでに次の車両が最終仕上げに入り、次なるカスタムショーへの出番を待ち構えている。そして、これほどのスピード感でありながらその完成度の高さも群を抜く。
リジッドフレームにスポーツエンジンを積んだブランニュー。女性のオーナーに合わせて乗りやすさに配慮しながら伝家のフリスコスタイルに落とし込んだ一台で、男性っぽい雰囲気にして欲しいという要望に応えて随所に『トゲ』がある感じで製作された。
まずフォークは39φナローの2インチロングをセットし、前後ホイールにはオリジナルのビレットホイールを装着。そしてシート下にオイルタンクとコイルカバー、バッテリー&電装ボックスの3点をアルミで造作。この3点の空間に関しては、ほどよく『隙』を作ることが重視された。
「カスタムバイク作るのに『隙』や『空き』が結構重要だと思ってて、普通のビッグツインの感じで作っちゃうと小さく見えるんですよ。だけど全部リサイズしてやってくと良い感じの落としどころになってくるんで、うまく隙を作ってあげてます」
一方、マフラーである。こちらはわずかにカチ上げ、外側に向けて斜めに角度を付けるなど、他の箇所同様に女性っぽいイメージでは作っていない。このどう見てもワイルドなデザインは要望に沿ったものだが、取材に同席してくれたオーナーの当初の話を聞くとなかなか面白い。
「カッコ良くしてって(笑)。あとは女の子っぽくないのにしてって。だからピンクは嫌だって言ってたんですけどピンクになってました(笑)。でも見てるうちに愛着が湧いてきて、私のバイク一番カッコ良いなって(笑)」
この辺の力技が実に店主の内田さんらしい。そしてやはり恐ろしいのは、この女性にはNGだったピンクが文句なしに似合っている点だろう。ころころと良く笑い、周りにいる人間を和ますハッピーオーラの持主のオーナーにピッタリである。きっと本人はまだ気付いていないだろうが、その姿にはひと目を引く華がある。
いったい何がベストなのか。一介の作り手とは一線を画す洞察力を備えた氏が選んだのは、正確にはピンクではなくマゼンタという色を薄くしたものだ。オーダーに全力で応えるのはもちろんだが、時にはその依頼から外れてでもオーナーがより輝ける舞台を用意してあげるのも作り手の腕の見せ所である。
HARLEY-DAVIDSON XL883 DETAIL WORK
FRONT FORK
39φナローの2インチロングを装着。全体との均衡が取れるようライトのマウント位置に細心の注意が払われる。
FRONT WHEEL
前後21/18ホイールにはバイクガレージココロオリジナルのビレットモデルをセット。キャリパーはPM製。
GAS TANK
ガスタンクは単にチョップするのではなく全体との具合をかんがみて成形。塗装はマゼンタの薄いものを採用。
OIL TANK
オイルタンクとコイルカバー、バッテリー&電装ボックスをアルミで造作。空間の『隙』を効果的に作り出す。
MUFFLER
マフラーは若干上方にカチ上げたハイパイプで、更に外側へ向け斜めに角度を付けることでワイルドさを演出。
REAR FENDER
フェンダーはタイヤのアールに合うようにリメイク。フェンダーステーは気品を漂わせるシンプルな造作となる。
BUILDER’S VOICE
BIKE GARAGE KOKORO
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