H-D FLH 1982
SATISFACTION
ショベルヘッドで再現する
抑制された『ヨンパチ』の威容
ヴィンテージハーレーへの憧憬を少なからず抱える者にとって、1948年式のパンヘッドは特別な存在に違いない。ラグジュアリーで端正なルックスは、今なお多くのファンを有した存在である。
そのスタイルをショベルヘッドで体現してほしい。そうした不意を打つオーダーに応えたのがこの一台だ。製作したのは大分市に店を構える『サティスファクション』。早速ビルダーの山口さんに話を聞いてみた。
「ヴィンテージに乗るには不安もあるし、それなりにコストもかかります。それでショベルでいこうと。オーナーさんがリジッドにはこだわらないとのことで、あえて4速フレームであの年代に近づけたいと思いました」
ベースとなったショベルはサドルケースも付いていたようなノーマルのFLHだったそうだ。そこでまずはそれをストリップした後に、製作はスタートした。
「あの当時のガスタンクは小ぶりだったので、ショベルの純正タンクをチップドして、小さくすることで当時のスタイルに近づけてます。メーターダッシュも当時のスタイルのレプリカに換えています」
フロントエンドは74スプリンガーに換装。ヘッドランプとフォグランプが往年のスタイルを色濃く演出してくれている。また、ホイールはショベルのキャストからスポークに変更。そして『48(ヨンパチ)パン』の特徴のひとつである優雅なデザインのフロント&リアフェンダーはレプリカを用いて丁寧に再現している。
一方、クラッチはショベル純正のハンドクラッチ&シーソーシフトを使用。キックは設けず、プライマリーもカバードのままでもちろんセルも残している。この辺りからは、初めてハーレーを所有するオーナーへの配慮が窺える。
車体の外装色がブラック&ゴールドに決まったことで、それに合わせて他のパーツも黒いものを多用し、あるいはブラックアウトすることでより精悍で重厚感ある車体へと昇華。そこにオーナーの指定だというタンクデカールが相まることで、そのルックスは古き良き時代のヴィンテージハーレーに近似したものへと変貌を遂げた。
走りの面でも目を引くものがある。セルを回せば即座に始動。ひとたび車体を動かせばリアサスの恩恵を受けつつ、純正のシフターでコントローラブルな走りを手中に収めている。そしてさらには、ショベル特有の鼓動感も味わえるという、なんとも贅沢で才色兼備なマシンがここに誕生した。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON FLH 1982 DETAIL WORK
SPRINGER FORK
パンヘッドがスプリンガーを採用していたのは1948年のみ。ゆえに、このスタイルの再現には欠かせない。
DISK BRAKE
ドラムより制動性が高く、純正バナナより主張しない。そんなブレーキを求めW&W製ディスクキットを選択。
DASH PANEL
ハンドルを低い位置にマウントすべくFORK製のライザーを採用。メーター&ダッシュは’40年代のレプリカ。
GAS TANK
ショベルの5ガロン純正分割タンクを加工し小ぶりにリサイズ。ヘッドをかわす加工が行われた部分にも注目。
SADDLE BAG
オーナーの持ち込みだというレザーのサドルバッグ。このショベルのためにオーダーしたワン&オンリーだ。
REAR END
テールランプはVLテールをチョイス。ブラックアウトされたロケットフィンマフラーがヴィンテージ感を加速。
BUILDER’S VOICE
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