H-D FXE 1974
FREE STYLE MOTORCYCLE
紙一重が拮抗する
ツイストの分水嶺
周りに流されることなく、自分の望んだ脈拍で、まっしぐらにカスタムに対座するショップである。ショーに出展するたびに規格外の作り込みでスキモノに衝撃を与えてきた作り手の中川さんだが、今回はロングフォークチョッパーに焦熱を注いでいる。
「コンセプトですか? それはオーナーにしか分かんないですけどね。あっ、ネジネジだそうです。まあそれに尽きますね」と、横で話を聞いていたオーナーの言葉をそのままよこす淡々とした人柄は何年も変わらないが、手にかけるカスタムは年々進化の一途をたどっているようだ。
まず、注目したい箇所が2つある。ある程度ロングフォークに関心がある人ならおのずとピントが合うディテイルがフロントフォークだ。むろんただのツイストフォークではなく、リアレッグまでツイストさせた一品である。通常はフロントレッグのみで終わらせるところを、難度の高いリアまでをネジってくるあたりに規格外たる氏の片鱗が覗く。
「ジグを作ってって感じですね。大変だったのはそれぐらいじゃないですか。ジグを作れば位置関係が決まるんでそれに合わせて作っていく。まあ何でもそうですけどフォーク作るにはジグを用意しないといけないんで」
次に、マフラー。こちらもツイストデザインでネジりを入れているわけだが、そのままやったのではパイプが潰れてしまう。あるいは、炙って曲げたところで変な潰れ方をしてしまう。しかも、パイプが太い分全体を炙るのに時間がかかるのもまた難点だ。そのため、そうした諸問題をいったん呑み込んだ上で、綺麗にツイストするよう内部にパイプを突っ込んで型崩れを防ぎ、真っ赤っかになるまで炙ったところでぐいっと力をのせてゆく。
「マフラーもフォークもですけど、炙って曲げて切って貼ってを繰り返す感じです。フォークは1週間ぐらいかかりましたかね。別にネジるカスタムは得意ではないですけど苦でもないぐらいです。均等にするのは難しい感じですけど(笑)」
マフラーは内部に入れておいたパイプを抜くのがまた大変だったと笑う。そして、1週間を要した大作のフォークである。あまり想像を膨らますのもあれだが、1週間ずっと、朝から晩まで炙って曲げて切って貼ってを繰り返すその尋常ならざる世界は圧倒的だ。
言ってしまえば、そうした中川さんのイズムは全体の隅々にまで支配されている。狂気と紙一重のエレガンス。この危ういバランス感覚が、ひと目をさらう不可侵の土壌だ。
HARLEY-DAVIDSON FXE 1974 DETAIL WORK
HANDLE
手前にベントさせたハンドルもワンオフでツイスト仕様に。徹底して作り込まれたディテイルで構成される。
FRONT FORK
フロントとリアレッグ共にツイストを施したフォーク。ヘッドライトはヴィンテージのアリス製を2連で装着。
GAS TANK
ワンオフしたプリズミックタンクにはマットなエイジングペイントを。塗装はすべてオーナーの好みだそうだ。
FOOT CONTROL
フットコントロール周りも単一で製作。ステップやシフトロッド、シフトステーまでを同デザインでツイスト。
MUFFLER
労力を要した箇所のマフラー。形が崩れないよう内部にパイプを入れた後に、炙って曲げて成形していった部位。
SISSY BAR
シッシーバーに至るまでが余さずツイストされる。テールライトはオーナー持ち込みのエレクトロライン製。
BUILDER’S VOICE
FREE STYLE MOTORCYCLE
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