H-D FXDL 1997
SURE SHOT
2連覇を飾る
美意識の実弾
2021年の横浜ホットロッドカスタムショーにおいて、2大会連続でBest of Show Motorcycleの頂点に輝いた『シュアショット』の実弾である。ベース車両はハーレーのダイナローライダー。ショーバイク製作にはハードルが高いとされる武骨なモデルを敢えて選んでくるあたり、のっけから洒落っ気が利いている。
ビルダーの相川さんは、「エボリューションのダイナフレームを使って細身のソフテイルを作りたかった」と、事の発端を説明する。シュアショットのカスタムで第一義とされる、スキニーなスタイリング。まずそれを形成するため、ノーマルの2本サスがモノサス化された。
曰く、リジッドフレームのチョッパーの見栄えが良いのはシート下のフレーム幅の狭さだと話す氏は、理想のシルエットを求めてモノサス化。そこでレーシングブロスジャパン製サスをシート下に隠すのではなく、逆に見せ場としてガスタンクとシート間に格納し、デザインの一部として機能させている。
また、それに連動したソフテイル化に必須のスイングアームが鮮烈だ。ドゥカティのモンスターS4Rのハブと前半分のメインチューブのみを使い、他をワンオフしたそれは片持ち構造で造出。そうすることでシート下の幅を狭めることができ、ひいてはリジッドフレームよりもスキニーなラインを形作るのに奏功している。
「要はドライブチェーンよりもスイングアームの幅の方が狭い。チェーンがスイングアームの外側に来てるような構造になってます。それに合うホイールもなかったのでワンオフで削り出してます」
クラシックなイメージを持たせた新しいスポークホイールを作りたかったとのことで、平行に走る2本のスポークを3次元で重ねたようなデザインに設計。かつてない2枚合わせと別で用意したリムやハブなど全5ピースで合成。そしてスーパーナローフォークでのディスクブレーキ装着に関して、実はスポークのみ右側にオフセットし左側にスペースを確保。そこにキャリパーとローターが絶妙に格納されている。
一方、ノーマルフレームの角パイプが使われたメインチューブは跡形もなく刷新され、シート周りはサスを機能させつつフェンダーとタイヤのクリアランスを最小に抑えるべく3つのパートで構成。ソフテイルの泣き所ともいえる箇所を巧みなデザインで解決している。
ビルダー相川さんの中にある、きちんとした『エスプリ』としか呼びようのない美意識。それは考えうるすべての箇所に吹き込まれている。
HARLEY-DAVIDSON FXDL 1997 DETAIL WORK
FRONT FORK
アウターチューブと三つ又に大神戸共榮圈製を。フォークカバーはアルミで製作し、ライトは車用フォグライト。
GAS TANK
アルミのガスタンクにレーシングブロスジャパン製M8用サスを格納。モノサス化をデザインの一部として披露。
ENGINE
ヘッドのブリーザー穴を埋めて後ろ側に取り出し口を移設。クラッチは油圧化されてホースラインをクリーンに。
SWINGARM
片持ち構造のワンオフのスイングアーム。ドライブチェーンよりも幅を狭めることでスキニーなラインを入手。
SEAT
シートはフレーム側に。フェンダーはスイングアーム側に固定。サスのストロークは間のシートカウルでカバー。
REAR WHEEL
片持ちスイングアームに合わせて、ホイールは全5ピースから成る3次元スポークデザインの18インチを製作。
BUILDER’S VOICE
SURE SHOT
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