ハーレーのナックルヘッドチョッパー FL 1947年

H-D FL 1947
SATISFACTION

December 24th, 2021

孤塁をまもる
ガレージビルドの薫り

近年の旧車をベースとしたチョッパーのカスタム傾向といえば、車体の随所にエイジングを施し、サバイバー然としたヤレた雰囲気を醸すものが多いように感じる。そんな中、大分市の『サティスファクション』が製作したこのナックルチョッパーは、世間一般のトレンドを意に介さないクリーンな輝きを湛えたマシンに見えた。

ハーレーのナックルヘッドチョッパー FL 1947年

「チョッパーなので基本はキレイに。タンクやフェンダーあたりは綺麗に塗りたかったんです」。そう話すのはビルダーの山口さん。その言葉通り、シルバーのフレーク塗装に黒/赤のスキャロップラインという、コントラストの効いたタンクにまず目を惹かれる。

「色はバイクが組み上がる寸前に決めましたね。塗装のコンセプト? 特にないです。思いつきですよ」と、氏は歯を見せた。マシン全体に目をやれば、その細いスタイリングに見惚れる。このスタイルを実現すべく、リアホイールは18インチに換装。これによりリアセクションはよりタイトな印象へ変化している。タンクやハンドル周りも同様だ。

ハーレーのナックルヘッドチョッパー FL 1947年

「タンクはできるだけ小ぶりにしたかったのでピーナツタンクをチップド(幅詰め)して、それに合わせてハンドル周りも幅の狭い、なるだけ低いものにしたくてライザーをヘリングスタイプのナローライザー。いわゆるカニ足ライザーを使ってます」

ハーレーのナックルヘッドチョッパー FL 1947年

そしてハンドルのドラッグバーは店に転がってたものを使ったと言う。しかしこのマシンの興味深いところは、全てのパートがタンクやフェンダーといった外装同様にギラついているわけではなく、ハンドルやホイール、フロントエンドなどところどころに薄くサビを帯びたセクションがあることだ。真新しいパートと、ややヤレたパートとが喧嘩することなく一台のチョッパーを構成している。

ハーレーのナックルヘッドチョッパー FL 1947年

この辺りの演出からは、本国のバイカーがガレージに転がっていたパーツを用いて一台のマシンを組み上げたような、ガレージチョッパーの物語を思い起こさせてくれる。

それでいて、山口さんらしい鉄加工が見受けられるセクションも少なくない。例えばワンオフのマフラー。その軌道とデザインは何から着想を得たのだろうか。

ハーレーのナックルヘッドチョッパー FL 1947年

「うーん……。上げたかったんですよ。これも別にコンセプトはなくって……その場の思いつきですね」

こうしてカタチとなった精悍なナックルチョッパー。ビルダーの『思いつき』=ひらめきが随所に散りばめられた一台である。

(写真・文/マツモトカズオ)

HARLEY-DAVIDSON FL 1947 DETAIL WORK

ハーレーのナックルヘッドチョッパー FL 1947年のライザー

RISERS

STELLING & HELLINGSスタイルのカニ足ライザーとドラッグバーのセットアップ。左レバーはFブレーキ。

ハーレーのナックルヘッドチョッパー FL 1947年のメーターステー

METER STAY

ブラスのメーターステーはサティスファクションのオリジナル。同店のカスタムには欠かせないパーツである。

ハーレーのナックルヘッドチョッパー FL 1947年のシート

SEAT

かつてニューヨークにあったH&F Mesinger製モーターサイクル・レーサーシートのレプリカをチョイス。

ハーレーのナックルヘッドチョッパー FL 1947年のマフラー

MUFFLER

どこか植物のような有機的な曲線の軌道を描くパイプ。直線部分ではジャバラを用いてアクセントを加える。

ハーレーのナックルヘッドチョッパー FL 1947年のリアエンド

REAR END

ナローなリブフェンダーがリアセクションをタイトな印象に。フェンダーブレスのリベットも旧い雰囲気を醸す。

ハーレーのナックルヘッドチョッパー FL 1947年のライセンスプレート

LICENSE PLATE

「右側が寂しい」という理由からライセンスプレートは右に据えた。テールランプはルーカスタイプを用いている。

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