H-D FLSTC 1995
SUN MOTORCYCLES

低く凝然と駆け抜ける
ストリートドラッグマシン

国産アメリカン、そしてハーレーのカスタムを得意とし、若年層から熟年ライダーまで、幅広いカスタマーを抱える広島の『サンモーターサイクル』。店内にはストックを始め、チョッパーやバガーと、同店の守備範囲の広さを物語る多様なマシンが並んでいる。

「最近は忙しくって、店の中がバイクでいっぱいなんですよ」と、朗らかに笑うのは代表の立岡さんだ。

そしてこのEVO（エボ）チョッパーは、氏が長く面倒を見ているマシンのひとつである。

「最初は前後16インチを履いたノーマルに近いヘリテイジで、外装から少しずつ変えて行きました。タンクとフェンダーを変えて、フロント周りはスポーツスター用を使いました。ホイールも21インチを組んで、ちょっとずつチョッパーっぽくなっていきましたね」

外装に加え、フットボードもFX系のものに換装。かつて重厚なクラシックテイストを醸していたヘリテイジはその面影を完全に消し、マシンは精悍なスタイルへと姿を変えている。

一見してスタンダードなカスタムだが、メタルワークを得意とするSUNらしいセクションも存在する。特に目を引くのは、特徴的なエキゾーストだろう。

「マフラーはオーナーさんから『普通のショットガンとかじゃない、ワンオフで何か特徴のある感じに作ってほしい』という要望があって製作したものです。シリンダーの45度Vツインに合わせてデザインしました」

その言葉通り、ハーレーの代名詞であるV型モーターに沿うようにエッジの効いた軌道を走るマフラーはこのカスタム最大の見せ場と言えるパートだ。

「バイクの全体バランスには気を遣いましたね。例えばリアフェンダーはシンプルに、かつ長くなりすぎないように車体のバランスを見ながら位置決めをしてます」

改めてマシンに目をやれば、ハイトンネルにより低くマウントされたスポーツスタータンク、リアに向けて真っ直ぐに伸びたエキゾースト、前後21&16インチホイールのセットアップと、往年のロー&ロングなスタイルにまとめられた均整の取れたフォルムに見惚れる。やはり、エボにはこのスタイルがよく似合う。

「少しずつ形を変えて、最終的には全体的に低く構えた、ドラッグレーサーみたいなスポーティなバイクになりましたね。乗ってる姿も低くてカッコ良いんですよ」

確かに。このマシンがストリートレーサーよろしく街を軽快に疾走する姿は痛快に違いない。

（写真・文／マツモトカズオ）

HANDLE

低く構えた車体に合わせ、ドラッグバーをチョイス。これにより低く戦闘的なライディングポジションを得る。

GAS TANK

ハイトンネルのタンクはマシンの低さを決定づける重要なファクターと言える。やや控えめなH-Dロゴが粋。

METER

ミニメーターはタンク左下にマウントされた。ウインカー、ニュートラル、油圧のインジケーターを備える。

EXHAUST PIPES

なんとも痛快な45度のV字を描くエキパイ。キャブはSU。こんなデザインの提案ができる所がSUNらしい。

MUFFLER

リアへとストレートに走るドラッグパイプ。ブラスのマフラーエンドがシンプルなマシンの差し色として活きる。

REAR FENDER

ラウンド・リアフェンダーは長さに留意してカットされている。フェンダーブレスは丸パイプでワンオフ製作。