H-D PAN SHOVEL 1963
LUCIFER CHOPPERS SANCTUARY
代わりがきかない
名花のフォトジェニック
ロングフォークのチョッパーといえば、何はなくとも東北無双の『ルシファー』抜きには語れない。徹底した作り込みから放たれる輝きはひと際光度が高く、チョッパーフリークの心をつかむどころか、問答無用で握りつぶしてしまうかの威力がある。
店主の中澤(なかざわ)さんの本気はいつになく高圧だ。ナックルヘッドを模した新作のパンショベルを前に、背筋を氷の虫が這うようなゾクッとした感覚を覚えるのも毎度のこと。
「女性がオーナーなんですけど、元々は結構ツイストが散りばめられたチョッパーだったんです。それをリメイクする予定で始めたんですけど、どうせやるならとどんどんエスカレートしていった感じですよね」
スプリンガーフォークからシフトリンケージまで、溜め息が漏れるほどにどこまでも端整なツイスト加工が施されている。しかも単なる造作物ではなく、『美』との調和を計って構築されたプロポーションにはほんのりと、艶めいた色気すら漂う。
すべての作業の起点は手グラインダーだ。読んで字のごとく、手とグラインダーである。切断して削って溶接してを延々と繰り返して打ち立てたロングフォークチョッパー。そこには何の魔法もあるわけがなく、ただひたすらに鉄塊(てっかい)と向き合い続けた作り手の神々しいまでの後ろ姿があるだけだ。
また、フレームから各パーツに至るほとんどのパートをメッキ仕上げにしているため下地処理も十全。溶接箇所を残すことなく、コーティング後につるんと綺麗に見えるための労力もいとわない。
「溶接目が出ないように。一番心掛けていると言うか、やっぱり手抜きかどうかってそこでだいたい分かりますから。だから変な話、カスタムショーのバイクを見ても、溶接目削ってないんだ、みたいなのもたまにありますよね」
作りに関しての細部に行き届いた目線はもちろんだが、最大のポイントはやはり、オーナーが乗りやすいかどうか。誰よりも似合い、ちょっとやそっとじゃ分け入れないような緊密なリレーションシップがあるか。この女性オーナーがひとたび走り出すだけで絵になる一葉が出来てしまうように、その代わりは決して他の誰にも務まらない。
「見た目はコンパクトですけど、小柄なオーナーが乗るともうロングフォークのチョッパーなんです。オーナーが走ることによってカッコいいシルエットが完成する。例え旦那さんが乗っても駄目だし、ウチはそのオーナーが乗ってこそなんで」
HARLEY-DAVIDSON PAN SHOVEL 1963 DETAIL WORK
FRONT FORK
アートの域にまで高められたツイストスプリンガー。鉄棒を炙ってネジってを繰り返して創作された造形美。
GAS TANK
ガスタンク下側のクロームプレートは、フレームとタンクをつなぐステーとなる。ひと捻り加えた装飾箇所。
TANK MOUNT
上下のタンク留めではつまらないことから裏側と、下側で固定。エンジンハンガー等にもツイスト加工が入る。
ENGINE
ナックルヘッドルックの’63年式パンショベル。フレーム同様に磨き込まれたシルバーの光沢が車体に溶け込む。
FOOT CONTROL
女性オーナーに合わせて設定されたコントロール位置。シフトリンケージには絶妙な加減でツイスト加工が入る。
REAR END
ツイストシッシーバーの固定ナットやステップなど要所に真鍮パーツを導入。ゴールドカラーが散りばめられる。
LUCIFER CHOPPERS SANCTUARY
住所 | 福島県郡山市片平町字水上27 |
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電話 | 024-973-7680 |
FAX | 024-973-7680 |
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