
H-D FLSTC 1996
JEWEL MACHINES
一貫してはぐくんだ
滋味豊かな黒い流星
「このカスタムは元々のウチのスタイルから発展していったものなんです。フロントに74スプリンガーフォークを付けて、ガスタンクはスポーツスター系の小ぶりな形を選んで、ソロシートを合わせたのがベースですよね」
エボリューションエンジンに特化したコンプリートカスタムを手掛ける『ジュエルマシーンズ』。大きく分けて、74スプリンガー/ナローグライド/ボバーの3パターンのカスタムスタイルを発信している。

「ベースを決めて、そこからお客さんの好みでハンドルやマフラーなどの仕様を自由に選択してもらっています。ニーズ的にはダイナモデルじゃなくて、もう圧倒的にソフテイルが多いです」
代表の為谷(ためがい)さんは、リアのサブフレームをカットして細身のガスタンクを装着することで、根強い支持を集めるリジッドスタイルに似ることが人気の要因だろうと推測する。

そんな同店の強みは、2007年の創業から一貫したソフテイルカスタムのノウハウと、クオリティである。悪い所があればすべて直すのはもとより、例えば、フロントのアクスルシャフトひとつ取っても見過ごせない作りが潜んでいる。

実はこのアクスルシャフト、専用設計で特注したもの。高剛性のクロモリ鋼を素材にしてジャストな長さで製造することで、元々ショックアブソーバーの無いフォークながらも狙った走行安定性を確保。また、剛性が担保されることで制動時によじれることなく、ストッピングパワーの強いPM製キャリパーにも順応する。

「やっぱりカスタムの評価のポイントでは配線処理も大事ですよね。それから全体的なバランスと乗りやすさ。ポイントはこの辺になりますから、この一台だけがこの部分をこだわっているという訳でもないんです。どの車両もそうですから」
そしてまた、氏は逆説的に、製作の時は一度白紙のような状態にするため『綺麗に作るしかない』と笑う。そもそもの美意識が高くなければ発せられないようなその言葉は、撮影前のバイクの徹底した磨き方とも如実にリンクする。

スタッフ全員で気になる箇所を点検し更に磨き上げたまっさらな車両は、外温40度近い猛暑の陽を受けて、ことさらにまばゆい。車両価格にして約210万円から展開するブラックとシルバーに盛装した生一本なコンプリートカスタム。為谷さんは、お客さんの目線に立った好みの仕上げ方で、自信を持って提供していると結ぶ。
HARLEY-DAVIDSON FLSTC 1996 DETAIL WORK

HANDLE
ハンドルは汎用のラビットバーを操作性と車体のバランスを加味して加工。マスターはグリメカ製を選択する。

FRONT FORK
同店で不動の人気を誇る74スプリンガースタイル。アクスルシャフトはクロモリ鋼を素材にした専用設計品。

FRONT WHEEL
21インチの純正ホイールをブラックカラーにリペイント。キャリパーは制動力の高いPM製2ポットをセット。

FOOT CONTROL
ミッドコントロールにオリジナル商品を使用。ビレットの風合いがエボリューションエンジンの質感と調和する。

SWITCH HOUSING
スイッチ系をチョークレバー横に設置してミニメーターも移設。コイルカバーにはスモールランプが配される。

SISSY BAR
フラットリブフェンダーとシッシーバーのコンビでチョッパーテイストを演出。カラーはブラックで統一。
BUILDER’S VOICE
JEWEL MACHINES
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H-D FL 1955
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