H-D FXR
VIDA MOTORCYCLE
全会一致の
空気を震わす残響
無防備な状態でこんなカスタムを見せ付けられたらたまったもんじゃない。ある程度の事前情報があるならまだしも、それ無しでの対面は正直きつい。全体の研ぎ澄ましたマシンバランスにかぶせた、オフェンシブなブラックカラー。ひと目で玄人のそれと分かる仕事なだけに、鳥肌が立ち、心臓が一拍分スキップする。
福岡の領袖(りょうしゅう)、ヴィダモーターサイクルによるツインカムFXR。フレームにFXRSのものを使い、エンジンとミッションにはツインカム96のパワートレインを搭載。そしてコンセプトは、ストリートトラッカー。
主の大久保さん曰く、トラッカー風のカスタムを作りたかったことから、タンクとシートカウルにウエイトを置いて作業に着手。まずタンクとマシン本体の均衡を計るために、タンクの下側はエンジンロッカー形状に沿うようアールを付けて成形。極力タンクがフレームに深くかぶさるように調整するものの、やり過ぎるとトラッカーの雰囲気が出ないことから何度もアジャスト。微妙に大きさを変えたり削り込んだりを繰り返してようやく着地させたパートである。
そしてアルミのシートカウルも熟考の末に辿り着いた一品。あまり小さ過ぎてもカスタム感がなく物足りないため、ほどよく主張するボリュームを持たせ、見栄えの良いデザインで創出。氏は、フレームを触っていない分タンクとフェンダーでアピールしたかったそうだが、それが結果的に大げさになり過ぎて修正するのが大変だったとも苦笑する。
「FXRフレームは補強がすごい。でもその野暮ったさを取り外すわけにはいかないのでタンクとフェンダーで調整するというかですね。まあ位置決めは1mm単位は大げさですけど5mm単位というか、時間はかかりましたね」
なんら誇張してないのが分かるからこそ揺さぶられる。自分の手を広げて親指と人差し指で5mm程度の長さをイメージして欲しい。この長さを幾度となく増やしたり減らしたりしてベストな位置を探り出していく工程はもはや想像の範疇を超えた世界にある。しかしこの破格のバランス感覚は、こうした遠い時間軸と感性のコンビネーションによって初めてカタチをなすものだ。
もちろん細部に至るまでを固めたブラックカラーのクオリティパーツに、ワンランク上のエレガンスを漂わせた全会のマットペイントも穏やかでない。すべての部位に対して容赦しない作り手のフルスイング。その空気を震わす風切り音はいつになく耳に心地いい。
HARLEY-DAVIDSON FXR DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークはオーリンズ製43φの正立タイプ。ライトは2017年式FXLR用を流用しレンズをスモークペイント。
GAS TANK
えぐりの入るガスタンクは吟味を重ねてベストな位置にセット。グレーとブラックのマットペイントで塗装。
ENGINE
FXRSフレームにツインカム96エンジンを搭載した『ツインカムFXR』。キャブには米国レクトロンを採用。
SEAT COWL
シートカウルはアルミでワンオフ。立体的なデザインに製作される。シートは宮城県のジミードープが担当。
MUFFLER
サイレンサーにイタリアのHPコルセ製を使う。要所にクオリティパーツを取り入れることで完成度を高める。
REAR END
ブロックスパフォーマンス製スイングアームに、リンダル製ホイールをセット。ショックはODC製13.5インチ。
BUILDER’S VOICE
VIDA MOTORCYCLE
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