H-D SHOVELHEAD 1972
Janus Mind
4本出しの啓示と
クセモノどもの夢の跡
ナローでスタイリッシュ。ドイツが世界に誇るポルシェカラーで身を包んだマシンは、群馬のきらぼし、『ジェーナスマインド』による一台。今にも軽快に走り出しそうなストリートテイストにそそられる。
「まあお客さんがツースロートキャブとマグネトー点火を使いたいというところからですね。そこにたまたま生まれ年のエンジンが見付かってスタートしました」
エンジンは約1480ccのストローカー仕様。排気量が大きい分それを使いきれるように5速ミッションをセットし、外装に関してはオーナーの好みを聞いた上で店主の福田さんがアレンジを加えた。
「ハイポジションのスーサイドクラッチで、あとマフラーは本当に自由に作らせてもらった。4本出しという形なんですけど、最初からこれを作ろうと思ったわけじゃなく、こう合わせていく内にこうしたら面白いんじゃないかって」
きっとパッと見では取り回しがトリッキー過ぎて理解に苦しむだろう。要は、右側3本/左側1本の排気口が用意され、更にそれぞれを追えば、まずフロントエキゾーストは1本から左右に2本へと枝分かれさせ配置。
かたやリアエキゾーストも2本に枝分かれさせるが、そのまま単純に出した1本に反してもう1本はぐるりと左側を回り込んで右下へセット。こうした全体のバランスを崩すことない『魅せる』を強く意識したデザインは同店の真骨頂。遊び心を忘れない大人のたしなみだ。
そしてスーサイドクラッチのリスクも、実際はリアブレーキを2連で装着することでカバーする。つまりフロントブレーキレスの外観は変わらず、左グリップをひねると新たにミッション下に配したブレーキマスターに連動してブレーキが機能。一方、既存のリアブレーキは右足で踏み込むいつもの作りという寸法だ。
パーツチョイスや装着位置までオーナーと相談して進めていったカスタムは、エクステリアだけでなくエンジン周りも好みのメニューで固められた。しかもそれは、ストローカーエンジンとツースロートキャブ、マグネトー点火といったクセモノ揃いの組み合わせ。が、氏にしてみれば、そこは大した問題にはならないようだ。
「まあ確かにツースロートとマグネトーってかかんないと嫌がられるところなんでしょうけど、かかっちゃえば凄い面白いですね。全然難しいことはないですよ。楽しいなあみたいな(笑)」
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD 1972 DETAIL WORK
HANDLE
ワンオフのクリーンなハンドル周り。スロットル/ブレーキワイヤーはインナースロットル化で中通しされる。
FRONT FORK
ナローな35φのテレスコフォーク。ブレーキレスとしたフロント周りに23インチホイールの存在感が浮き立つ。
ENGINE
ストローカーエンジンに、オーナーの要望だったツースロートキャブとマグネトーを設置。始動性は至って良好。
FOOT CONTROL
オープンベルト内を介してハイマウントとしたフットコントロール。集約したスイッチ類はシート下に配備。
MUFFLER
複雑にからみ合うパイプは右3本、左1本出しのデザイン。フロント、リアエキゾースト共に2本に枝分かれ。
REAR BRAKE
キャリパーを2連で装着。ひとつはフロントブレーキの代用として機能。もう一つは通常のリア用となっている。
BUILDER’S VOICE
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