H-D PANHEAD SPCN
KEN’S FACTORY
ビターの効いた
現代アート的クレイジー
さかのぼること15年前。おおむね2005年前後に製作されたパンヘッドである。しかし年月を経ても色あせない、むしろ今の時代だからこそより光り輝く、パーフェクトなボディバランス。腕に覚えのあるプロフェッショナルが手掛けたチョッパーはこうも可憐だ。
「別に最近ウチで作ってるのと色合いが違うわけでもないよ。ちょこちょここんな雰囲気の作るで。コンセプトも何も、パンを使おうがショベルを使おうが結局こんな感じ。古いやつを作ってもこうなるもんな」
代表の永井さん曰く、ただのパンチョッパー。が、こちらの想いをストレートにぶつけてみれば、決して露骨な素振りは見せないものの、『ただの』なんかではない特別な感情を秘かに抱いているのが察せられる。
「確かに良いよな。自分で作っといて言うのもなんだけど(笑)。サンティーかなんかの普通のフレームのケツを少しいじっただけと思ったら結構やってる。でももうあんまり覚えてないな」
骨格から外装パーツまで、全てにおいてケンズの美学が息づくフォルムは相変わらず鉄壁だ。まず、前後ホイールにはアメ車ブランドのウェルド製21/18インチを選択。そしてフロント周りに目をやれば、41φフォークとミニドラムはワンオフで、ブレーキシューに125cc用を流用。
ドラムには鋳鉄で削り出したライニングの当たる箇所を作り、それ自体が回らないように回り留めをした後に芯出しである。ブレーキの効きは気持ち程度というセクションながら、やはり作り込みに妥協はない。
よどみないひと連なりのデザインとなるタンクとリアフェンダーは鉄板を叩き出して成形したもので、フェンダーストラットはアルミで製作。フェンダーの両サイドに穴を開けて裏から固定している部位だ。
しかし、今回のカスタムの肝(きも)は外装のハイレベルなセッションではなく、あくまでペイントである。チェッカー柄に同化したクロスのグラフィック。古くから交流のあるアメ車界ではビッグネームのカスタムペインター、フレディーズの川口さんが担当したそれを前に、永井さんは無条件の賛辞で締めくくっている。
「このバイクはもうこのクロスありき。お任せで頼んでたんやけど、すっげえなって。だってこのアイデア出来るやつおるか? ほんと現代アートのちょっとクレイジーな人ぐらいしかこれは頭に浮かばんよな。これは素晴らしいと思う」
H-D PANHEAD SPCN DETAIL WORK
HANDLE
チョッパーのお手本的な、ほど良い高さに位置するエイプハンガー。グリップやライザーは同店のオリジナル商品。
FRONT FORK
ワンオフ削り出しの41φフォークとトリプルツリー。6本スポークホイールはアメ車ブランドのウェルド製。
GAS TANK
後方へゆるやかに絞り込んだタンクは鉄で成形。最大の見せ場となるペイントはフレディーズ川口さんが担当。
FOOT CONTROL
操作系はアルミで作り、ペグはオリジナルのディンプルタイプ。シフトはジョッキーからハンドシフトに変更。
MUFFLER
ミッドハイのポーカーパイプは外側へ僅かに角度が付いた造形。エンドキャップもディンプルデザインで統一。
REAR FENDER
リアフェンダーの両サイドに穴を空けてアルミのストラットを固定。フェンダートップにタンク同様の柄が入る。
BUILDER’S VOICE
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