H-D FXDB 2010
VIDA MOTORCYCLE
ダイナ系クルーザーの筆頭が
タイトに武装するニューマシン
ハイスピード・クルーザーを数多く世に放ってきた九州の雄、ヴィダモーターサイクル。これまでも何台か紹介してきたが、ひとつとして「似たバイク」はない。例え同じブラックの外装をまとっていても、その仕様は一台一台がそれぞれに個性的だ。
今回のマシンはFXDBストリートボブがベースである。まず眼を惹かれるのはフロント周りのフェアリング。純正FXR系フェアリングよりもタイトなシェイプが施された、フルゲイン製ナローバガーカウルだ。本来はスムースなデザインだが、フォグランプをマウントするための加工をフルゲインにオーダー。高年式の純正ウインカーをリング状に発光するフォグとしてそこに配している。
外装に関して特筆すべきもう一つのポイントは、リアのバッグだ。これはダイナのポリスモデル、FXDPディフェンダーの純正デッドストック。本体高の低いものをチョイスし、スタイリッシュなフロントフェアリングとの均整を保っている。併せてリアフェンダーもストリートボブのショートフェンダーからローライダー用のフルレングスにスワップし、リア周りをより精悍な印象にしている。
車体各部のブラックアウトは、ヴィダ必須のパターン。しかし今回はシルバーも好むというオーナーに合わせ、エンジンヘッドカバーやシートのパイピングなど随所にシルバーを残すことでコントラストを演出した。また、タンクに描かれたウイングはMr.Gの手によるもので、2色のグレーで構成されたそれは、このマシンの軽快な雰囲気に絶妙なマッチングを見せている。
外観はもちろん、走りの部分も抜かりない。エンジンはシリンダー、ピストン、カム交換で107cu.in.にスープアップ。県内のチューニング専科『ビークルデポ』でフラッシュチューニングを施し、淀みないパワフルな走りを実現している。
足周りはフロントにサンダンスのトラックテック、そしてスピードマーチャントのプリロードアジャスターをインストール。リアサスはシングルレートスプリングを採用するプログレッシブ490の13.3インチを選択し、よりアグレッシブにコーナーをクルージングできる車高を確保した。
ブレーキキャリパーは純正。ブレンボのマスターと大口径ローターの組み合わせであれば、純正でも十分な制動力を確保できるという、ビルダー大久保氏の実体験からの採択だ。
スタイリッシュかつアグレッシブに仕上げられた一台。このマシンでのクルージングは痛快なものに違いない。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON FXDB 2010 DETAIL WORK
FRONT FAIRING
精悍な顔を演出するカウル。高いライザーとの間にはSDCのバッグ。ナックルガードはヴィダのオリジナル。
RISERS
クラウス製10インチのプルバックライザーは、根元でなく上部にブッシュが入り、より振動を軽減する高性能。
ENGINE
高圧縮に対応すべく圧縮を逃すクイックリリース型のカムを挿入。エアクリーナーはS&Sのステルス。
SEAT
BMC Corbinのシートは同店の定番だ。このマシンではシルバーのステッチとパイピングをオーダーしている。
MUFFLER
エキゾーストは当時日本ではレアだったレッドサンダー製。常に新たな良品を探しているヴィダらしい選択。
SIDE BAG
このサイズはレプリカが存在せず、好コンディションのデッドストックを使用。レールも純正をベースに加工。
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