H-D FLSTC 2010
SUN MOTORCYCLES
米国仕立ての
ノーマルスイング
旧車から水冷エンジンのV-RODまで、ある一定の車種に特化しない多様性がサンモーターサイクルズの美点のひとつだ。また、柔らかにストレッチされた思考で組み立てられるカスタムは、ハンドルやマフラー交換だけの軽めのものから、外装にすべて手を加えた重めのものまで、車種同様に間口が広い。
さて、2010年式のFLSTCヘリテイジである。カスタムの度合いとして軽いか重いかで言えば、ちょうどその中間に位置するような一台は、ほぼお任せでの依頼だったそうだ。
「このバイクをずっと持ってたお客さんで、ちょっとカスタムしようかって。お任せで置いて帰られたんですよ。そこで担当したスタッフが軽いのと重いのの2パターンの見積もりを作ってお客さんに提案したら重い方でやっといてくれって(笑)」
どれが正解かも分からないままスタートを切ったカスタムは、やり過ぎず、当然男っぷりの良いスタイルを念頭に置いて進められた。その際のキーワードは『ノーマルを活かした綺麗なフォルム』、である。
カラーリングこそノーマルのトーンを残したままだが、要所に改良を加えたパートを追ってみたい。まず、前後ホイール。フロント/リア共に16インチだったそれは、フロントのみ21インチにアップさせ、また、ヘッドライト部分にナセルを付けることで重厚感のある表情を演出。そして、エッジの立ったハンドルがカスタムテイストを違和感なく高めている点も見逃せないポイントだ。
フェンダーには米国クロックワークス製のディープタイプを用いて、マフラーは老舗バンス&ハインズのビッグショットを装着。そこに来て、敢えてのノーマルサイドバッグの選択がなんとも大人の雰囲気を醸している。こうした社外パーツのみに頼らない、代表立岡さんの確信犯的オペレーションがジワリとボディブローのように効き、ノーマルルックながらに二度見させるだけのインパクトを発している。
「この車両に関しては、このお客さんだったらこんな感じだろうなっていうイメージがあった。例えば、ハンドルにエイプハンガーを付けても似合わないだろうなぁ、とか。こうしたらきっと良いだろうというところで綺麗目に作ってます」
海外のディーラーカスタムを参考にしたと言う。ガチガチに純正オプションパーツに縛られた日本のそれではなく、社外品とノーマルパーツを自由に組み合わせてバランスを取ったクルーザー。かつて単身アメリカで技術を学んできた、氏ならではの視点だ。
HARLEY-DAVIDSON FLSTC 2010 DETAIL WORK
HANDLE
全体がノーマルルックなだけにより強調されたハンドルの存在感。エッジの立ったデザインがアクセントに。
FRONT END
ノーマルフォークにナセルを装着。ディープフェンダーは前後共に米国サウスダコタのクロックワークス製。
ENGINE
ストックエンジンのアクセサリーがさり気に美を飾る。シンプルなクロームのエアクリーナーカバーはPM製。
SEAT
シートは王道のラペラ製。「ノーマルスタイルを活かして綺麗目に」、というコンセプトに合致したチョイス。
SIDE BAG
サイドバッグは純正品を使う。質感の高いリア周りで全体のボリューミーなマシンバランスに大きく貢献する。
MUFFLER
マフラーはバンス&ハインズのビッグショットロング。マフラー焼けのないフルカバーヒートシールド仕様。
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