H-D FLSTS 1998
DRAG ON
スタイルを後押しする
前後スプリングの粘り腰
キャッチーなテイストを廃し、ブラックカラーでソリッドに仕上げたエボリューション。スロットル開度に応じて本領を発揮するハイスピードスタイルへのフィニッシュは、老舗ドラッグオンの二代目、速水さんが担当した。
「まあ限られた予算の中でまとめるのはいつもの通り大変だったけど、ポジション周りに手がかかりましたね。元々はボルトオンパーツでいければと思ってたんだけど、それがダメになっちゃったから」
プリモ製プライマリードライブ用のミッドコントロールを手配するはずが、そのパーツ供給が止まってしまったことでワンオフ。同店で毎回作るミッドコントロールよりも若干前側に設置したそれは、僅かな位置関係に手間取ったそうだ。
「どうしても位置出しに時間がかかる。あと今回はマウントの部分はアルミだけど他は鉄で作ってます。リンケージもいらない肉は落としてしまおうと肉抜きしたり。まあベアリングは当然中に入れてるんで今回はもう話さないけど(笑)」
足周りに視点を移そう。前後19/18インチのPM製ホイールに、同じく前後ともにPM製4ポットキャリパーを装着。そして39φのフォークには、サンダンス製デュアルフォークスプリングキットのトラックテックを挿入。それに合わせてリアショックスプリングもサンダンス製でアップデイトされる。
「乗り味が良いんですよ。食いつきだったり、トラクション、接地感がバツグンに良い。みんなリアをローダウンすると段差でバンプストップにあたってガンッ!ってくるわけですよ。でもそれがない。粘るからだよね。それはフロントにも言えるんだけど」
初動が早くてぐーっ、と粘る。今回だけではなく、一度乗れば明白な走行性を語るとき、速水さんの目はいつだって輝きを増す。いや、話がテクニカルな内容に及ぶときはいつだってそうだ。こうしたスイッチの切り替わりは物作りと対峙する人特有のものだろう。
さて、外装である。ガスタンクは既製品を使い、アンダーマウント部分を加工。フレームメインチューブにマウントタブを溶接して、タンクを確実に支持している。また、リアフェンダーとストラットはローランドサンズデザイン製を使用。これは、かつてワンオフでしかなしえなかった造形を容易く入手できる有用パーツだ。
効果的に汎用パーツを配し、要所にプロフェッショナルの技が効くセクシー。そこに走りの美学が乗って初めて、ドラッグオンカスタムは完結する。
HARLEY-DAVIDSON FLSTS 1998 DETAIL WORK
FRONT COWL
ハイスピードスタイルに欠かせないビキニカウルはコネリーズ製で、ハンドルは埼玉のウォーレス製を選択。
GAS TANK
タンクは既製のローブローカスタムズ製を用い、アンダーマウント部分を加工。塗装はブラックで統一する。
MID CONTROL
ミッドコントロールはワンオフ。アルミのマウント部分以外はスチールで構築する。ブラスペグはキジマ製。
REAR FENDER
フェンダーとストラットは人気の高いローランドサンズデザイン製。シートはシンプルなソロタイプを装着。
MUFFLER
ミッドハイとした2インチのショットガンマフラーはステンレスでワンオフ。エンドにブラスキャップをセット。
REAR WHEEL
リアもフロント同様PM製ホイールとなる。RKのブラックチェーン上部に配したガードはステンでワンオフ。
BUILDER’S VOICE
DRAG ON
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