ハーレー ケンズファクトリーの2003年フルスクラッチカスタム

H-D EVOLUTION SOFTAIL
KEN’S FACTORY

August 5th, 2018

世界でたける
大御所の宝玉弾

眩しくてつらい。ケンズファクトリーの作るマシンはいつだってそうだ。一点の隙なく作り込まれたディテイルがそれぞれ呼応し合って全体像を形成する、息を呑むかのセクシーなボディライン。構成される金属パーツの乱反射と、色気を内包した深紅のカラーリングが目もくらむ輝きを帯びている。

今回の一台に名付けられた『タイクーン』は、皇帝を意味する言葉で、そのイメージを踏まえて製作は進行した。

ハーレー ケンズファクトリーの2003年フルスクラッチカスタム

「毎回聞かれるけどコンセプトは別にないよ。最初から『タイクーン』というのがお客さんの頭の中にあって、その要望に応えるかたちで作ってる」

代表の永井さんは淡々と、いつものように口数少なく、しかし時には茶目っ気を含んだブラックジョークを織り交ぜて答えてくれる。そこで今回は主に、3点のディテイルに絞って話を聞いてみた。

ハーレー ケンズファクトリーの2003年フルスクラッチカスタム

まず、オリジナルのビレットガーターフォーク。ルックスはもちろん、機能性に強みを持ち、市販品ではあるものの基本セミオーダーで製作するスペシャルパーツだ。ショックの硬さやトレールのディメンションを煮詰めることで、ノーマルと比べてもなんら遜色ない乗り味を誇り、それどころか高速走行ではより爽快なライドフィールを味わうことが出来ると言う。

「一応汎用品で何バージョンかあるんやけど車体に合わせてみてだね。ネック角とかアクスル位置によって変わってくるから、既存のデザインで合わないのは新しくひき直してる」

ハーレー ケンズファクトリーの2003年フルスクラッチカスタム

次に、残り2点のガスタンクとリアフェンダー。タンクはアルミの叩き出しで、複雑に起伏した箇所もすべて手作業で成形。タンクの縁には、アルミで肉盛りしたパイピング状のデザインがアクセントに効く。そしてリアフェンダーだが、こちらにも当然、機能美を体現する老舗ゆえの哲学が宿っている。

ハーレー ケンズファクトリーの2003年フルスクラッチカスタム

取り付け箇所を、前側の左右4つの支点で終わらせたかったことから、まずベース板に強度十分の10mm厚の鉄板を選択。そしてサイドに6mm厚の板を使って成形した上で、今度はトップに1.6mm厚の普通の鉄板を使用。最後に、縁にぐるりとステンレス製パイピングを一周させて強度アップ。こうした実益を兼ねた美的ディテイルの数々が同店の真骨頂でもある。

ハーレー ケンズファクトリーの2003年フルスクラッチカスタム

「だからコンセプトも見せ場も、何回聞いてもないって。ないですって(笑)」。ラフだけどチャーミング。相も変わらず氏の言葉は、情感とユーモアの果糖で苦みをたくみにつつんでいる。

H-D EVOLUTION SOFTAIL DETAIL WORK

ケンズファクトリーの2003年フルスクラッチカスタムのハンドル

HANDLE

ハンドルは肉厚のパイプをフライスで削り出していったワンオフ。グリップは同店のオリジナルパーツを使用。

ケンズファクトリーの2003年フルスクラッチカスタムのフロントフォーク

FRONT FORK

ビレットガーターフォークを装着。トレールなどの基本構造を押さえ、更にブラッシュアップさせたオリジナル。

ケンズファクトリーの2003年フルスクラッチカスタムのガスタンク

GAS TANK

アルミ板の叩き出しでメイクしたワンオフ。エッジの立った造形や縁のパイピングまで、全て手作業で成形。

ケンズファクトリーの2003年フルスクラッチカスタムのエンジン

ENGINE

豪奢に輝く心臓部にはオリジナルの装飾パーツをおごる。ショック位置も同店ならではのテクニカルな設計。

ケンズファクトリーの2003年フルスクラッチカスタムのオープンプライマリー

OPEN PRIMARY

オープン同様にフットコントロールも同系のオリジナルパーツで統一。左に取り回されたマフラーエンドも見所。

ケンズファクトリーの2003年フルスクラッチカスタムのリアフェンダー

REAR FENDER

厚の違う鉄板で美しく成形した部位。デザイン性の高い、縁取られたステンレス製パイピングが更に強度を増す。

BUILDER’S VOICE

KEN’S FACTORY

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