HARLEY-DAVIDSON XLCH 1972
MC.ROOTS
切りとおしの先で
引き当てたストライク
キタコレ! 当たりを引いた感動が全身を突き抜ける。足を踏み入れた店内には、趣味の良いカスタムバイクがそこかしこに鎮座。いや、そもそも店前に並んだバイクからしてテンションが上がる『いなせ』ばかりだった。何ていうのか、クオリティうんぬんではなく、雰囲気が良い。どのバイクにも作り手の好きさ加減がバンバンに出てしまってるわけだ。
事前情報はまったくなく、初めてお邪魔したそのビンゴの主である新田さんは、ゆったりと、人好きのするにこやかな表情で目の前のショベルスポーツについて話してくれた。
「お客さんにお任せでって言われるんで、やっぱり乗って楽しいこと。あとみんなでオフにも行ってもらいたいし、ウチもちょこちょこ行ったりするんでまあこんな感じですね」
昔からモトクロッサーやトラッカー系が好きなこともあってこの手のスタイルは得意分野。そして、ディテイルの作りにも特徴がある。まず、リアエンドのループフレームに注目したい。
毎回オリジナルで作るというループフレームは、間接部にわざわざラグを配したボルトオン仕様。最初に、旋盤でインロー(※凸凹が噛みあう形状)を作って点付け溶接で肉盛り。圧入で製作するそれは、既存のループフレーム加工より手間のかかる代物である。なんでそこまでするのか、と分かりきった質問をしないではいられない。
「ハーレーとかトライアンフの時はいつもやったりとか。まあやった方が見た目的にもいいかなみたいな(笑)」。言わずもがなである。
他に、キャブのモディファイやエンジンのフルリビルドもそうだが、前後19/18インチのホイールに焦点を合わせたい。実はこれ、ブランクの状態からオーダーで作ったワンオフリムで、スポーク角もすべて合わせられたものだ。H型の汎用品となるとアクロンやボラーニが一般的だが、信頼を寄せる職人に依頼した方が自由度もコストも抑えられることでそうしているそうだ。
「ウチH型はよく使うんで、型を置いてもらってるんです。リムをオーダーで作ってもらって、それに合わせてこっちでハブとシャフトを旋盤で作り直してる。オフセットを車体に取り付けた状態でフレ取り出してやるんですよね」
やっぱり、当初感じたバイクに漂う作り手のパッションは間違いなかった。ぽんぽんと、普通の会話から飛び出してくる専門性の高い内容が心地よく胸に響く。そしてなんといっても、こんな店が近くにあれば、晴れやかだ。
HARLEY-DAVIDSON XLCH 1972 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルはワンオフ。メーターはスミス製だとコスト的に上がってしまうことから汎用のスミスタイプを装着。
FRONT FORK
ウチではめっちゃよく使うと言う35φフォーク。ハーレーだけではなく日本車のカスタムでも重宝するそうだ。
FRONT WHEEL
ワンオフリムを使ったH型の19インチホイール。ヴィンテージライクなブレーキはホンダCB製を流用する。
GAS TANK
タンクは全体のバランスを見てトンネルから作り直したワンオフ。同店ではカラーペイントも自社で行う。
REAR END
単にパイプをつないで均すのではなく、ラグを入れて整形。ひと手間入れることで完成度は飛躍的に向上する。
REAR WHEEL
リアも同じくワンオフリムを使用した18インチ。ブレーキはアイアン純正ハブでショックカラーは赤に変更。
BUILDER’S VOICE
MC.ROOTS
住所 | 和歌山県和歌山市塩ノ谷279-1 |
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電話 | 073-466-3893 |
FAX | 073-466-3897 |
SHOP | MC.ROOTSのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 不定休 |