HARLEY-DAVIDSON FXE 1981
REDNECK KUSTOMS

万人に届く
慣れ親しんだ機能美

親近感を覚える。ずーっと昔むかしにどこかで見たような、よく接していたような、はたまた手の届く距離間にあったような……。でも考えれば、幼いころにハーレーとの接点なんてあるはずもないんだから不思議でしょうがない。

そんな折、すべてがクリアになったのは、ビルダー山内さんのひと言だった。「自転車みたいにしたんですよ」。なるほど、自転車を思わすディテイルが、記憶の断片をいたずらに突いていたわけである。

「オーナーの希望だったんです。何をもって自転車かというのは、自分の中にあるイメージをポイントポイントで入れて出してみたつもり。ハンドルなんかも格好良いのじゃなくて定番のママチャリをイメージしたり、あとは後ろのフェンダーブレースもそう」

ママチャリに忠実に、荷台を支える1本とフェンダー支持の1本の計2本でバッキング。唯一、フェンダーの長さだけもう少し伸ばしたかったそうだが、どうしてもバランスが取れなかったためココで落ち着いた。

「あとは細く、スカスカ感ですね。まあ出てるのかなってとこだけど（笑）。このタイヤのサイズはオーナーが持ち込んだときから前後21／19インチだったんです。最初っから自転車っぽくしたくてそうなってたのかな？」

リア19インチは初めてのサイズ設定だったので、上手くまとめるのに苦労したと言う。そしてその流れで、他の箇所に話題を振ると、全体的に大変だったとの答えが返ってきた。

「このフェンダーも元々はリブフェンダーなんですよ。そのリブ幅をカットして詰めてつなげている。どうしても後ろの跳ね返りの部分を使いたかったんですよね。そこだけが使いたくて（笑）。あとはタンクもスタンダードなサイズのやつを小さく作り直してます」

既製品で小さいマスタングタンクもあるが、丸みの部分が好きになれないためスタンダードをベースに加工したとのこと。これら市販パーツのモディファイは納得ゆく造形はもちろん、コストと時間の面でも分があるそうだ。

「見て欲しいのは全体なんだろうけど、俺は結構このキックペダルを見せたくて。誰もが一度は見たことがあるもの、バイクに興味がある、なしは関係なく（笑）」

あからさまではなく、さり気にひそませた自転車を思わすディテイルワーク。『ママチャリ』という野暮な響きに反して、その機能美を極めたフォルムのエッセンスが、パンチ力を増している。

HANDLE

あくまでもイメージはママチャリ。操作性を第一に考えたあの形状に倣いライザー一体でワンオフ、配線は中通し。

FRONT FORK

トラディショナルなフロントマスクは74スプリンガーと、FX用ヘッドライトを下マウントに変更して形成。

GAS TANK

スタンダードサイズをまず横にスライスして鉄板を足してかさ上げ。次に中央でカットし幅を詰めてナロード。

SEAT

フレームにベタ付けでは乗車位置がしっくりこないため、裏にかさ上げ加工をして納得のポジションを入手。

MUFFLER

マフラー形状がアイキャッチになるが本当の見せ場はキックペダル。誰もが慣れ親しんだあのカタチである。

FENDER BRACE

ママチャリそのままに、2本のフェンダーブレースで支持。フェンダーはリブフェンダーを加工した一品もの。