HARLEY-DAVIDSON XLH1200 1989
SUN MOTORCYCLES
VANSが浮かぶ
ゆるめのライトウェイト
2017年。昨年末の横浜HOTROD CUSTOM SHOW。国内外のカスタムビルダーが精魂込めて創り上げたバイクが並ぶ中、何故か一台のマシンに惹かれた。色調は重厚なモノトーンで統制。それでいて、全体からは不思議とライトな印象を受ける。鮮やかな色彩で咲き乱れたショー会場の中で、そのマシンはシンプルゆえに際立ち、来場者の目を引いていた。
手がけたのは、広島・サンモーターサイクルズ。「思いっきり『カフェレーサー!』っていうよりは、なんというか、ストリート寄りの……。まぁそもそもカフェレーサーがストリートなモノではあるんですが(笑)」。そう笑うのはビルダーの立岡さん。永く店に眠っていた旧いスポーツスターに、ショーという場を選んで再び光を当てた張本人だ。
氏の言葉が示すように、その車体はカフェレーサーの基本スタイルを踏襲しつつも、そのルーツであるタンナップボーイズ(※’50~’60年代に夜な夜なカフェに集ったロッカーズの若者)の尖ったマインドを感じさせない、ある種の『ユルさ』をたたえている。
フロントカウルからタンクを経由しシートカウルへと続く、そのやわらかなラインを描いたシルエットがその要因のひとつだろう。そして外装の上を走るホワイトライン。手書き感を押し出したHarley-Davidsonのロゴもそれを助長している。
しかし、その実、作り込まれたエクステリアにも注目したい。文字通りこのマシンの顔となって主張する、スチールで作られたカウルは、イグニッションをONにすればリング状のライトがアクリルを通して浮かび上がる設計。これはバガー系カスタムのゴーストテールなどに用いられる手法だ。
ガスタンクは現行スポーツスターの4.5ガロンをチョップ。幅を詰めて、エンジンヘッドの形状に合わせてエグり加工が施されている。そしてさらに特筆すべきはオイルタンクを兼ねたシートカウルだろう。この構造によりシート下にすっきりとしたスペースが生まれている。先のライトウエイトな印象は、ふたを開ければここに起因するところも大きい。
Sun MCの製作するバイクには、質実剛健な中にもどこかキュートさだったり、気負わないユルさが同居している感がある。そして、この一台もまた然り。思わずカメラのファインダー越しに、ふとエンジニアブーツではなくVANSのスニーカーを連想したのが記憶にある。
街を軽快に走るその姿を目撃してみたい一台だ。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON XLH1200 1989 DETAIL WORK
FRONT COWL
個性的な顔を演出するカウル越しにリング状のライトが怪しく光る。LEDウインカーはフォークに巻かれる。
HANDLE
ワンオフのハンドルが戦闘的なポジションを形成。メーターはモトガジェット。グリップはビルトウェルを選択。
GAS TANK
幅、高さを詰め、更にヘッドを避けるなどメタルワークの妙を見せるタンク。ロゴはピンストライパーLOUの仕事。
MUFFLER
Rサスはダイナ用をチョイス。車高を高めに設定する。ワンオフのメガホンマフラーはストレートな軌道を描く。
SEAT
シート製作はスタッキートリムサービスが担当。ホールド性を求めたデザインで、シート上部はオイルキャップだ。
SEAT COWL
カスタムのキーとなるシートカウル兼オイルタンク。LEDテールライトが埋め込まれ、下部にはウインカーを配す。
BUILDER’S VOICE
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