HARLEY-DAVIDSON FLH 1962
MOTORI GARAGE
ハンデを呑みこむ
トリプルクラウン
「元々はちょっとのモディファイのつもりで来てくれたんですよ。今乗ってるバイクをマイナーチェンジしたいってことで。最初はシーシーバーを付けたいとかだったんだけど、フロント周りも伸ばしたいって話になって、そこからあれもこれもやるようになったんです(笑)」
宮城県の実店舗と通販共に、いま勢いに乗るセレクトショップ『ウルフパック』のオーナーの愛車である。そしてそのオーナーが門を叩いたのは、同じくお客さんの支持が後ろ盾となって推進力を増すモトリガレージ。東北地方で名の売れた、同じスピード感で走り続ける両雄がジョイントした一台だ。
「元々は74スプリンガーが付いてたんですけど、それとは真逆の車両を作りたいみたいな。だからまっさらな状態から始めたわけじゃないんで、先にあった形との兼ね合いが一番大変だったんじゃないですか。でもそういうのってあんまり記事には書かないですよね(笑)」
張りのある声で話す店主の鳥居さんは変わらずフラットだ。事実を自分のフィルターに通して色付けすることなく、淡々と、そのまま伝達。我の強いビルダーにありがちな下手な脚色が無い分、聞いてる側の腹にすんなり落ちる。
10インチオーバーのフロントフォークは、33.4φの最終型を譲ってもらった物だと言う。ヘッドライトはユニティのH1と王道のセットアップで、タンクは汎用のピーナッツタイプにちょっといたずらを加えたものだとか。
「中央のリブとキャップを右に持って来たぐらいかな。ペイントはアオゾラワークスさんで、オーナーが直接やり取りしたものです」
シッシーバーのステーも見逃せない。パイプをつないだ凝った造形は、無垢の丸棒を中空パイプに通した後にロウ付けしたものだ。「別に狙ってというか(笑)」、と氏は謙遜するが、プレスで潰したエンドパイプの処理といった芸の細かさに、作り手の温度は如実に現れている。
また、オールドパーツの散らし方も嫌らしくなくスマートだ。ライザーやマフラーは’60年代を代表するシューペリア製を用い、ブレーキは’72年まで純正採用されたハンバーガードラムを装着。一方、リアフェンダーやホイールは社外の凡庸パーツを使用するが、ワンオフのステップ周りなどと見事な調和を見せている。
この、新旧パーツとワンオフを巧みに操りバランスさせる腕がモトリガレージのアドバンテージであり、どのチョッパーを前にしても、『巧い』と評されるゆえんである。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1962 DETAIL WORK
FRONT FORK
33.4φの最終型の10インチオーバー。元々組まれた物を知人に譲ってもらったと言う。ライトはユニティH1。
GAS TANK
汎用のピーナッツタンクにリブを入れキャップ位置を右に変更。ペイントはアオゾラワークスによるもの。
FOOT CONTROL
シンプルなステップ周りはワンオフ。変哲のない造形ながら周囲のパーツとの違和感のないマッチングは流石。
HIGHBACK SEAT
ロングフォークとテイストを合わせた、ダイヤステッチのハイバックシートは宮城県のジミードープが担当。
CALIPERS
予算が無かったと笑うが、逆に『外し』が効いたPMキャリパー。マフラーはシューペリア製カクテルシェイカー。
SISSY BAR STAY
中空パイプに無垢棒を通したシッシーバーステー。ロウ付けで処理される。リブフェンダーは汎用品を装着。
BUILDER’S VOICE
MOTORI GARAGE
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