TRIUMPH T90 TIGER 1960
FACTORY R54
スタイルだけに留まらない
必殺のボディージャー
シングルとツインエンジンに絞ってバイクを扱う、広島の『ファクトリーR54』による’60年式トライアンフT90タイガーである。ツインの349ccユニットエンジンを懐に抱く、どちらかというと王道からは逸れたマニアックな車種で、ハイコンプピストンとT100SSのハイカムを組み込んだ、スポーツ性が高いモデルをベースにカスタムされた。
「街中をひらひら走れるような。そこにスクランブラーの要素が結構入った感じですね。キラキラのショーバイクも昔は好きだったんですけど、最近は味わいのある乗り込んでる雰囲気が良いですね」
スケーターでもある店長の丸岡さんは、純正っぽさを残しつつ、当時のパーツをうまく組み合わせたスタイルに仕上げることがここ最近は多いと言う。
「このT90も一見純正スタイルですけど、パーツ自体はほぼ換えてます。あとメインフレームが元々無い車両なんですけど、実はそのフレームを作ったりしてます。ワッセルのバナナタンクが乗るようにしたかったんですね」
なかなか面白い構造のモデルだ。横から見れば分かり易いが、本来あるべきネックからシートレール先端をつなぐ一本のメインフレームが無いのである。それを’60~’70年代のヴィンテージタンクを付けるが為にわざわざワンメイクしたわけだ。
「お客さんがヴィンテージパーツが好きな方で(笑)。フォークは純正ですけどカバーはシューペリアで、ライトはルーカス製。ライザーはフランダースの幅を詰めたりはしてます。ヘリングスのハンドルも同じく幅をカットして合わせてます」
ファンにとっては垂涎の、ヴィンテージパーツの祭典は多岐に渡る。シートは名品ベイツ製を使うが裏板のみ全部作り直して装着。アルミ製のリアフェンダーには往年のスタイルに倣いルーカステールをフィッティング。そして、スキモノならずとも洗練されたレーシーなデザインに惹かれるベイツ製マフラーは、バンテージを入念に巻いてマウント。エンドフラップのワイヤリングなど当時を思わす芸の細かさも見逃せない箇所だ。
「ヴィンテージパーツをそんなに崩さずに、この車両に合ったサイズ感で付けていきたかったんでその辺は気を遣いました。あとはやっぱりメインフレームですよね、大変だったのは」
一方、一次駆動はチェーンからベルトドライブに換装。これはメンテナンス性の向上を狙ってのものだ。この、スタイルのみで終わらせないモディファイが同店のボディージャー、決め技となる。
TRIUMPH T90 TIGER 1960 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルはヘリングス製でライザーはフランダース。共に幅を詰めて調整。メーターはスミス製と豪奢にまとめる。
FRONT FORK
純正フォークにシューペリア製フォークカバーをセット。ルーカスのヘッドライトはサイドマウントで支持。
GAS TANK
ヴィンテージのワッセル製タンク。この装着に合わせてメインフレームをワンメイク。手の込んだ箇所となる。
ENGINE
349ccユニットエンジン。ハイコンプピストンと、酷似したフォルムを持つT100SSのハイカムがインストール。
SEAT
ベイツ製のシートは裏板のみ全てリメイク。シートレールには手を入れず当時のラインを活かした作りとした。
MUFFLER
機能美を全面に押し出すベイツ製マフラー。無駄のないソリッドなデザインがファンに支持されるゆえんだ。
BUILDER’S VOICE
FACTORY R54
住所 | 広島県広島市安佐南区中須1-13-13 |
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