HARLEY-DAVIDSON XL1200 1995
ROOSTER CUSTOM CYCLES
走りで伝える
第一世代が拓いた世界
お客さんや後輩から『シゲルさん』と、下の名前で慕われる人物だ。尖ったところの全くない、物静かでやわらかな人柄。およそチョッパー屋のイメージとはかけ離れた、角を綺麗にスムージングしたような印象の店主である。そんなシゲルさんこと菅原さんの愛車が、このリジッドスポーツだ。
断っておくが、見ての通り決してショーカスタムではない。普段の足に使う、ただの通勤車。だけど、とびっきりナイスなストリートマシンとでもいったところだろうか。なんせこれだけ地味で荒い作りながら、旨味スープ的な、スキモノを引き付ける香りがバンバンに出ている。この素通り出来ない存在感は、そうやすやすと手に入るものではない。
とにかく良く乗る。いや、良く乗るどころか毎日が軽いツーリングだ。自宅の仙台からショップまで片道50kmの、往復100kmコースを毎日これで通っている。月にして2500km。バイクが気持ちよく乗れる暖かい時期だけとは言うけど、なかなかそれだけの距離を走るビルダーにはお目にかかれない。何より、そんな長さを日常的に走る事実はチョッパー屋として説得力がある。
「自分の遊び用というか通勤で5年ぐらい乗ってますかね。調子よく走ってますよ。やりたい所はいろいろあるんですけど、乗れない日があると困るんでちょっとずつ。だからまだ全部フィニッシュはしてないんですよ」
これだけのシルエットである。さぞパーツ選びにも時間をかけたと思いきや、すべて店にあった有り物で作ったそうだ。なるほど、やはりどんな業界でも、素材ではなく感性の高さが決め手なのだろう。
フロントフォークは初期エボリューションスポーツの35φで、気持ちローダウン。何インチ下げたかは覚えておらず、あくまでも感覚である。前後ホイールはモーリスの19/18インチをセットして、タンクは現行スポーツ用を8分割して加工。右半分がガソリン、左前もガソリン、左後ろをオイルにしたセパレート仕様だ。
ハンドルも店に埋もれていたスーパーバーをショートカットした物で、ライザーは’72年まで採用された鋳物タイプを選択。サイドマウントの激シブなライトだって有り物を有効利用したまでのこと。そして、パンヘッドのマーカーライトを使ったテールライトもまた同様だ。
「気軽に乗れるようにというか、デモバイクみたいな感じですね」、と話す氏だが、バイクではなく自身が走ることそのものがデモである。
HARLEY-DAVIDSON XL1200 1995 DETAIL WORK
HANDLE
この荒さがリアルだ。店にあったスーパーバーをショートカット、ライザーは’72年まで採用の純正タイプ。
FRONT FORK
初期エボリューションの35φスポーツ用をローダウン。カチッとはまるボリューミーなライトも在庫パーツだ。
GAS TANK
丸みを帯びたラインにしたかった為ショベル用ではなく現行スポーツ用をモディファイ。オイルタンクも兼ねる。
SEAT
冗談のようにストイックなアンコ剥き出しのソロシート。リアフェンダーはFX系のフロント用を流用する。
MUFFLER
仙台チョッパースタイルの第一世代であることを覗かすミッドハイマウントの2in1。ホワイトカラーで主張。
REAR END
モーリス製ホイールに、フレームエンドに無造作に装着したテールライトはパンヘッド用のマーカーライト。
BUILDER’S VOICE
ROOSTER CUSTOM CYCLES
住所 | 宮城県登米市豊里町大曲80-6 |
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電話 | 090-7529-4319 |
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定休日 | 土曜日 |