H-D SHOVELHEAD 1972
Psycle Bum
なっちゃうものは
どうしてもなっちゃう
’70年代にアメリカのハーレー誌、イージーライダーズでポスターを描いていたイラストレーターのデビッド・マン。その筋ではあまりにも有名なアーティストだが、そんな彼が描いたチョッパーをモチーフに製作したのが、この’72年式ショベルヘッドだ。
「デビッド・マンの絵とニューヨークのダウンタウンを走っているイメージでしょうか。手法的にはホントに昔のまんまというか、特段変わったことはしないで作ったすね」
‘50年のパンヘッドフレームに、エボリューションモデルの35φフォークを4インチオーバーで装着。ライザー&ハンドルは大手パーツディストリビューター、Vツインで昔から販売されてるタイプを敢えて選択し、当時の空気感を演出した。そして、純正ヘッドライトに合わせたアイアンショベル用バイザーも無加工でセットしたものだ。
では、手を加えた箇所はどうだろう。キングスポーツタンクは長さと幅を詰め、ハイトを押さえた上でフレームにマウント。リアのフラットフェンダーは加工こそしていないが、支持するステーに作り手の密かな遊び心が宿る。「パッと見は吊るしっぽいけどエッジと曲線を混ぜて作り直してます」、と店主の小池さんは顔をほころばす。
「ペイントに関してはもろデビッド・マンのイラスト。青いバイクでゴールドリーフが入ったのが一台あるんですよ。後ろに女乗っけてホイルスピンしてて落ちそうになってるという(笑)。まあそれはもっと深い青でしたけど」
フレームのモールディングもそこから来てるそうだ。彼の作品に頻繁に出てくるチョッパー同様、骨格にパテを盛って成形、ペイントは知人2人による力作である。「ベースの青はログリーズメタルワークのユウスケが塗って、カッパーリーフとピンストライプは一緒に原付のオフロードレースをやってるジャイロズワークス」と、関わった人間を端折ることなく丁寧に紹介。ちょっとしたことながら、小池さんの人となりが現れた言動である。
すべての工程を聞き終えたところで、「やっぱり手こずった箇所は全体のバランスですか」、とありきたりながら、その人の本質を知る最良な質問を投げかけてみた。
「まあバランスはね。ちょっとデカイこと言っちゃうと俺がやるとこうなっちゃうんだよね(笑)。あんまりこういうこと言ってると調子に乗ってるって怒られちゃうけど(笑)」
取り方によっては確かにそうかもしれない。が、少なくとも氏の場合は嫌味がなく、むしろ一緒になって笑えるほど痛快だ。そしてこれが、小池さんの人柄である。
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD 1972 DETAIL WORK
HANDLE
Vツインから出てる定番のライザー&バー。メーターの取り付け位置も変に凝ることなく基本に忠実である。
FRONT FORK
フォークは35φのエボリューションモデルを4インチオーバー。適度な長さが’70年代を地で行くスタイルだ。
GAS TANK
キングスポーツをベースにリサイズ。デビッド・マンのイラストに倣ったペイントとグラフィックで仕上げる。
SEAT
肉厚のシートは当時物と思いきや仙台ジミードープが製作。質感、デザイン共に使い込むほどに輝きが増す。
OPEN PRIMARY
プライマリーはカラタ製1.5インチを。フットステップのステーは奇をてらわず丸棒でシンプルにワンオフ。
FENDER STAY
ステーは既製品ではなくエッジと曲線を混ぜてワンメイク。デュオテールやフェンダーは汎用品となる。
BUILDER’S VOICE
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