HARLEY-DAVIDSON DIGGER 1979
STANCE
‘80年代に思いを馳せる
テキサスで見た夢の続き
名古屋のスタンスがメイクした1979年式ディガー。跨った姿勢が墓堀人(ディガー)に見えることからそう呼ばれるスタイルにちなんで、このマシンはアンダーテイカー(請負人)というショーネームが与えられた。
「元々はアメリカのテキサスで見付けた車両。ほとんどネスの部品で構成されてて、ぼろぼろの状態だったのをウチに持って来て綺麗に作り直したという感じですね」
往年のアレンネスが展開したディガースタイルを彷彿とさせるそれは、近年のカスタムには無い特異なオーラを醸し出している。「ネス本人が作ったバイクでは無いと思う。ネス好きだった誰かがパーツを買い集め、田舎町でひとつずつ丁寧に作ったものなんでしょうね」、と代表の山田さんは海を越え、そして、時空をも超えて手元にやって来たマシンの情景に思いを馳せる。
しかしネスディガーを前に、やることは決まっていた。そこから新たなカスタムを施すのではなく、オリジナルの状態を再現しつつ、いかに同店のカラーを落とし込むか。そこで最大のポイントになったのがご覧のペイントワークである。経年劣化でパテは剥がれ、色もボロボロだったそれを復元し、プラスアルファでスタンスの個性が注入された。
「こういうゴールドリーフは無かった。この辺は自分のイメージを追加していった感じ。あとは塗装するにも表面だけでなく地も全部ダメだったから、一旦パテを剥がして鉄地に戻してからやり直してる。もちろんフレームも自分で塗ってるんでトータル10日間ぐらいは掛かってると思います」
代表の山田さん自らがスプレーガンを握り、仕上がりを追求した結果がここにある。そして、鮮やかなキャンディカラーを前に、何色と表現すれば良いかというこちらの質問に対して、声にならない笑いをこぼしたその姿にこれまで費やした苦悩の跡を見たような気がした。
アンダーテイカーのモディファイを前に、イメージしたのは’80年代である。マッスルでハイテクなネスディガー。S&Sのストローカーが組まれたエンジンは1480ccにスープアップされ、キャブはKEIHINからエイティーズ全開のウェーバーに換装。黄色に塗ったシリンダーや知人に依頼した彫金が合わさり、心臓部のインパクトは強烈だ。
そしてそこに来て、フレームやフロントフォーク、タンクを始めとした紛うことなきネスパーツの共演。一時代を築いた往年のリアルとイメージが、音もなくジョイントする。
HARLEY-DAVIDSON DIGGER 1979 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォーク、ヘッドライト共にオリジナルのネスパーツ。朽ちた状態を新品同様のクオリティまで復元している。
FRONT WHEEL
ホイールは19インチのモーリスを装着。タイヤはスタンダードなエイボンで、ダブルキャリパーはハースト製。
GAS TANK
ネスのキレたセンスを目の当たりにするオリジナルのタンク。同店によるスパイスが効いたペイントが入る。
ENGINE
1480ccのエンジンにはウェーバーキャブが付く。彫金や黄色のシリンダーなど’80年代全開のインパクトである。
SEAT
全体のフォルムと調和する、当時の空気感が漂うかのシート専科バックドロップによるワンメイクシート。
REAR END
オイルタンクやサイドナンバーまでがネス製となる。ペイントのみならず美しいモールディングも息を呑む。
BUILDER’S VOICE
STANCE
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