TRIUMPH TR6 TROPHY 1969
SNUG MOTOR CYCLES
実験前から結果の見えた
鉄棒使いのラプソディー
「今回のテーマが『チョッパー』だったので、まずはどれだけ細くチョッパーが作れるのか。あとは、全部イチから作ってみて、ちゃんと形になるのかという実験でもあったんです」
スナッグの高丘さんは、2016年ホットロッドカスタムショーのトライアンフ枠でこのTR6トロフィーを出展した。そして、自ら『実験』と称するように、フレームやフロントフォークに至る外装すべてをイチから製作。ハンドメイド感溢れた快心の一撃となっている。
部分的ではなく、何も無いところからフレームを作ったのは今回が初めてだと言う。まずはイメージするデザインにパイプをあてがい、各部の接合は溶接ではなく伝統的なロウ付けとされた。これはパイプ同士をつなぐ古風なラグの雰囲気と、古いバイクの印象を押し出したかったからで、その狙いは見事に達成された。
とにかく細くしたかったと話すスタイル面も、誰が見ても納得の仕上がりを見せる。ノーマルでも十分にスタイリッシュな造形を、前後19/18インチからボラーニレプリカの21/21インチホイールへと大径化することでより強調。「車輪が大きい方が細いイメージは増す」というこれまでの経験を活かし、また、左右出しのマフラーも車体とキワキワのラインに沿わすことで『細さ』を邪魔することなく、逆にその大義に拍車を掛けている。
「マフラーを両サイドにしたのは個人的に好きだから。あとは片方だけだとそっちだけ重視されるから、左右どちらから見ても同じ雰囲気にしたかった。でも、やっぱり大変だったのはフロントフォークですね」
鉄の棒からどこまで行けるか。ベースも無く、まっさらな状態から完成させたエクスクルーシブだ。ちなみに、フォークなどの可動パーツは単純に組み立てるだけでは話にならない。走行に支障をきたさず機能的に、そして、見てくれがイケてる必要があるなど、そのハードルは想像以上に高い。
そこでまず、「こうだったら動くだろう」という仮説を立てて、フォーク長とトレール量、角度を設定。それを基にラフスケッチを描き、針金を使って現車に合わせて形作りながら各部の数字を測定。つじつまが合うかどうかの確認を何度も繰り返した後で、ようやくその形状がカッコ良いかどうかの吟味に入るそうだ。更に、ガーターフォークの場合リンク可動になるため、リンク長によって動きがシビアに変わって来る点もかなりデリケートな箇所であった。
高丘さんの実験結果をどう捉えるか。言わずもがな、新しいことに果敢に挑む姿勢たったそれだけでもお釣りが来る。しかもその上、人を呼ぶスリムなボディシェイプと来るんだから言葉も無い。
TRIUMPH TR6 TROPHY 1969 DETAIL WORK
FRONT FORK
滅多に聞かないガーターフォークのワンオフ。デザインのみでなくしっかり機能するよう苦心して製作された。
FRAME
ビルダー高丘さんにとって実験だったというフレームワーク。要所にラグの要素を用いてロウ付けで接合する。
FRONT WHEEL
21インチへと大径化してスリム化を実現。レプリカといえどボラーニの質感がチョッパーにジャストミート。
SEAT
ともすれば野卑な印象に成りかねないハイバックシートの収まりも良く、また雰囲気を盛り上げている。
MUFFLER
左右に取り回されたミッドハイのスラッシュカット。好きと言うだけあって長さの設定も絶妙かつ文句無し。
SISSY BAR
シート同様一歩間違えば下品な印象になるシッシーバーも違和感ない。全体の調律が取れてのものである。
BUILDER’S VOICE
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