トライアンフTR6 トロフィー 1969のチョッパーカスタム

TRIUMPH TR6 TROPHY 1969
SNUG MOTOR CYCLES

February 2nd, 2017

実験前から結果の見えた
鉄棒使いのラプソディー

「今回のテーマが『チョッパー』だったので、まずはどれだけ細くチョッパーが作れるのか。あとは、全部イチから作ってみて、ちゃんと形になるのかという実験でもあったんです」

スナッグの高丘さんは、2016年ホットロッドカスタムショーのトライアンフ枠でこのTR6トロフィーを出展した。そして、自ら『実験』と称するように、フレームやフロントフォークに至る外装すべてをイチから製作。ハンドメイド感溢れた快心の一撃となっている。

トライアンフTR6 トロフィー 1969のチョッパーカスタム

部分的ではなく、何も無いところからフレームを作ったのは今回が初めてだと言う。まずはイメージするデザインにパイプをあてがい、各部の接合は溶接ではなく伝統的なロウ付けとされた。これはパイプ同士をつなぐ古風なラグの雰囲気と、古いバイクの印象を押し出したかったからで、その狙いは見事に達成された。

トライアンフTR6 トロフィー 1969のチョッパーカスタム

とにかく細くしたかったと話すスタイル面も、誰が見ても納得の仕上がりを見せる。ノーマルでも十分にスタイリッシュな造形を、前後19/18インチからボラーニレプリカの21/21インチホイールへと大径化することでより強調。「車輪が大きい方が細いイメージは増す」というこれまでの経験を活かし、また、左右出しのマフラーも車体とキワキワのラインに沿わすことで『細さ』を邪魔することなく、逆にその大義に拍車を掛けている。

トライアンフTR6 トロフィー 1969のチョッパーカスタム

「マフラーを両サイドにしたのは個人的に好きだから。あとは片方だけだとそっちだけ重視されるから、左右どちらから見ても同じ雰囲気にしたかった。でも、やっぱり大変だったのはフロントフォークですね」

鉄の棒からどこまで行けるか。ベースも無く、まっさらな状態から完成させたエクスクルーシブだ。ちなみに、フォークなどの可動パーツは単純に組み立てるだけでは話にならない。走行に支障をきたさず機能的に、そして、見てくれがイケてる必要があるなど、そのハードルは想像以上に高い。

トライアンフTR6 トロフィー 1969のチョッパーカスタム

そこでまず、「こうだったら動くだろう」という仮説を立てて、フォーク長とトレール量、角度を設定。それを基にラフスケッチを描き、針金を使って現車に合わせて形作りながら各部の数字を測定。つじつまが合うかどうかの確認を何度も繰り返した後で、ようやくその形状がカッコ良いかどうかの吟味に入るそうだ。更に、ガーターフォークの場合リンク可動になるため、リンク長によって動きがシビアに変わって来る点もかなりデリケートな箇所であった。

トライアンフTR6 トロフィー 1969のチョッパーカスタム

高丘さんの実験結果をどう捉えるか。言わずもがな、新しいことに果敢に挑む姿勢たったそれだけでもお釣りが来る。しかもその上、人を呼ぶスリムなボディシェイプと来るんだから言葉も無い。

TRIUMPH TR6 TROPHY 1969 DETAIL WORK

トライアンフ TR6 トロフィー 1969のフロントフォーク

FRONT FORK

滅多に聞かないガーターフォークのワンオフ。デザインのみでなくしっかり機能するよう苦心して製作された。

トライアンフ TR6 トロフィー 1969のフレーム

FRAME

ビルダー高丘さんにとって実験だったというフレームワーク。要所にラグの要素を用いてロウ付けで接合する。

トライアンフ TR6 トロフィー 1969のフロントホイール

FRONT WHEEL

21インチへと大径化してスリム化を実現。レプリカといえどボラーニの質感がチョッパーにジャストミート。

トライアンフ TR6 トロフィー 1969のシート

SEAT

ともすれば野卑な印象に成りかねないハイバックシートの収まりも良く、また雰囲気を盛り上げている。

トライアンフ TR6 トロフィー 1969のマフラー

MUFFLER

左右に取り回されたミッドハイのスラッシュカット。好きと言うだけあって長さの設定も絶妙かつ文句無し。

トライアンフ TR6 トロフィー 1969のシッシーバー

SISSY BAR

シート同様一歩間違えば下品な印象になるシッシーバーも違和感ない。全体の調律が取れてのものである。

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