HARLEY-DAVIDSON FXEF 1980
ANGEL DUST
老舗チョッパー屋の哲学は
ちゃんと止まればOK
ハーレー専門誌『ホットバイク・ジャパン』の初期の号で、圧倒的に突き抜けた世界観をイメージ広告として載せていたショップである。バーボンとタバコをメインビジュアルにしたそこに、『Angel Dust』の文字。他の掲載ショップとは比べるまでもなく、贅沢かつ瀟洒にクリエイトしたモノクロのページからはひと際異彩が放たれていた。
ロングフォークの雄、エンジェルダスト。この道20年以上の老舗カスタムショップである。そして、代表の佐藤さんは自分から表へ出ていきアピールするタイプではない。取材を申し込めば余程のことがなければ断ることもないが、やはり、どちらかと言えば知る人ぞ知る的な立ち位置である。そのため、先の広告と相まり、何やら取っ付き難いイメージが一人歩きしていた。しかし蓋を開ければ、昔ながらのチョッパービルダーといった風体で、挙動も話す内容も豪快そのもの。兄貴肌の氏を慕って多くのファンがやって来るのも頷ける。
今回のチョッパーはそんな佐藤さんの原点的1台で、まだエンジェルダストを始める前に手がけたものだと言う。
「これはお金をもらうようになって初めて作ったフレーム。それをずっと乗ってくれてるんだけど、今回たまたま預かっていたんだよ」
同店が最初期に手掛けた、ファンには垂涎ものの一台である。程よくカチ上がったフロントエンドに、大きく手前にベントした野暮ったさの残るプルバックバー。もうここだけでライス2杯はいける魅惑のメニューである。そして、往年のファットボブフェンダーにアーリー管と、当時人気を博したスタイルそのままの不動のセットアップ。スキモノならば腹いっぱいにならない方が不思議な饗宴だろう。
更に見ていくと、エンジェル定番の前後21/16インチホイールの仕様で、ストックの1340ccエンジンは17、8年前にクランクケースを一度開けた以来そのまま。調子よく走り続けていると言う。そして特徴的なタンク左横のハンドシフトは、ジョッキーのポジションだとタンデム時に奥さんの足に当たることから移行したもので、グリップにはガンマニアであるオーナーのアイデンティティが誇示されている。
「作る上で気を付けているのは、簡単に言うと走らなくても良いからちゃんと止まるバイク。だって死んじゃうでしょ。極端な話、エンジンかからなくても良いからちゃんと止まるようにしてる(笑)」
ウィットに富んだトークと兄貴肌な性格。当時若者を熱狂させたチョッパー屋の主は、今もブレることなく『Angel Dust』の看板をひっそりと守り続けている。
HARLEY-DAVIDSON FXEF 1980 DETAIL WORK
FRONT FORK
オーナー持ち込みのソフテイルとおぼしきフロントフォーク。6インチオーバーの絶妙なエクステンドである。
HANDLE
大きく手前に引かれたプルバックバー。当時を思わすアールの立ち上がりからエンドまでの長さが実に良い。
GAS TANK
タンクは幅詰めからキャップ位置まで全てを変更。シフトグリップはガンマニアであるオーナーの拘りの部分。
OPEN PRIMARY
プリモの2インチ・オープンプライマリーをセット。そしてフットステップの位置はもちろんミッドハイだ。
MUFFLER
マフラーは大好きだと公言するシンプルなアーリー管、スラッシュカットを装着。良質な音も魅力となる。
REAR FENDER
このファットボブフェンダーに胸が熱くなるファンもいることだろう。文句ナシのリアビューを形成する。
BUILDER’S VOICE
ANGEL DUST
住所 | 埼玉県戸田市中町1-8-1 |
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電話 | 048-211-3170 |
FAX | 048-211-3170 |
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定休日 | 不定休 |