VINCENT RAPIDE
CHEETAH CUSTOM CYCLES.
突出した感性を持った二人による
自然発生的クリエイション
かつてイギリス車の頂点に君臨したバイクメーカーの『ヴィンセント』。突出した芸術性と先進のメカニズムで多くのファンを魅了し、今もなお、伝説的メーカーとして一目置かれた存在である。
こちらのヴィンセント・ラパイドは、第二次大戦後に販売されたモデルで、当時エンジンとミッションは別体式が主流の中いち早く一体式を導入。そしてフレームの構造においても、エンジン自体が車体剛性の一役を担う、つまりフレームの一部を構成する(1980年代からようやく用いられたトラスフレーム構造)というそれまでの常識を覆す革新的なものであった。
この希少性の高いモデルをベースにカスタムを手掛けたのは、国内を代表するアパレルブランドNEIGHBORHOODの滝沢さんと、東京・練馬のカスタムショップCheetah Custom Cycles.の大沢さんによるジョイントプロジェクト、『ジュラシック・カスタムズ』である。
「ハーレーと違ってヴィンセントは球数が少ないからなかなか出てこないんだよね。でもちょうどこのラパイドが出てきて、『じゃあどういう風に持っていきましょうか』って滝沢さんと話していくなかで自然とこういうカタチになった。だから最初からガチガチに決めたイメージがあったわけじゃないんだよ」
変に奇をてらうのではなく、シンプルでカッコ良く。そして、当時のイギリスのあやしさを出すという方向性のもとで、カスタムは進められた。ちなみに外装を取ると分かるのだが、このラパイドはバイク自体がかなりコンパクトでフォルムも良いため、この素材の旨味を存分に引き出すことも念頭に置かれた。
特徴的なのは、車体を上から見た時のタンクからシートへと続く四角い形状である。この部分も作業を進めていく中で決まったもので、マスタングタンクのような丸いありきたりの物では安っぽく見えたり、あやしさが出ないという理由で発案されたものだ。
「トライアンフとかブラフシューペリアとかイギリスのバイクってタンクに特徴がある。単体で見ると意外と不細工なんだけど車体に付くとしっくりきたり、アンバランスなんだけどそれが味になってたり。ハーレーみたいに丸くなくても良いっていうのをこれまで英車を触ってきた中で知ってたし、逆にそうじゃない方が味になるっていうのが頭の中にあったんだよね」
ジュラシック・カスタムズは滝沢さんと大沢さん二人の異なった視点が組み合わさることでイメージが具現化されてゆく。「ひとりの発想じゃないから面白いし、そもそも俺からは絶対出ないような発想を滝沢さんはいっぱい持ってる」と話す大沢さんによれば、長方形型のシートも当初はもう少し一般的なコブラ型だったそうだ。しかし、真っ直ぐにしようということになり早速行動に踏み切れば、結果的にはこちらの方が完全に正解。全体とのバランスもドンピシャで、狙い通りのあやしさを醸し出すことにも成功している。
事前の詳細な設計図は不要。基本的にはデザイン・アイデアを滝沢さんが、製作を大沢さんが担当するなかで、唯一無二のクリエイション、想像を超えた化学反応が発生する。
VINCENT MOTORCYCLES RAPIDE DETAIL WORK
HANDLE
横一文字のハンドルバー。シンプルながら他の質感の高い造形物の存在により、雰囲気のあるコックピット周りとなる。
GAS TANK
一枚の鉄板から叩き出しで製作したワンオフのタンク。タンクを外すと四角いフレーム内がオイルタンクとなる。
ENGINE
性能はもちろん外観の芸術性も高いラパイド998cc。当時先端を行くエンジンとミッションが一体式であった。
SEAT
大沢さん曰く、『眉毛みたい』と表現するナロー・スクエア形状のシート。製作は名古屋のバックドロップ。
MUFFLER
当時物はアールが大きく、一気に曲げて融通が利かない作り。それに倣った今回のワンオフも意外と大変だったと言う。
REAR FENDER
ワンオフ製作後にメッキ処理。ステーを固定するマウントタブとヘックスボルトなど実に丁寧な仕事が見て取れる。
BUILDER’S VOICE
CHEETAH CUSTOM CYCLES.
住所 | 東京都練馬区南田中 |
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Cheetah.4ds@gmail.com | |
SHOP | CHEETAH CUSTOM CYCLES.のショップ紹介 |
営業時間 | 不定 |
定休日 | 不定休 |