H-D FLH 1977
MOTORI GARAGE
当時を思い出す
甘酸っぱい美人物語
昔むかし、気になるクラスの女の子の興味を惹くために、必死になって洋楽の歌詞を覚え込んだ。何回も何回も同じフレーズを繰り返して、必死に頭に叩き込む。やれば出来ると信じてなんとか身に付けた、あの甘酸っぱい思い出。
だけど一方で、そんなこと本気でやらなくてもすんなりと口から出てくるタイプのクラスメートもいた。スマートで万能。何をやらせてもそつがなく、しかも嫌味がないから対抗心すら芽生えない。モトリガレージのカスタムには、そんな淡い思い出をくすぐる上手さがある。
「これは最初に決まってたのは74スプリンガーだけです。お客さんがよそのショップの写真とかをいろいろ持って来て、こういうのやりたいなって。だからまあそれプラス、ウチのところの味付けをしてます」
前後21/16インチホイールのリジッドショベル。オーソドックスなカタチのチョッパーは、全体のバランスが要(かなめ)。パーツの装着箇所ひとつでガラリと雰囲気が変わってしまうものだ。
「ハマータンクをきれいに載せるためのあれこれはしている(笑)。オリジナルペイントを残しつつのトンネルの加工だったりとか。そのまま付けるとホントぽこんって載っかってる感じになっちゃうんで」
見栄え良く収めたタンクの加工と、オーナー自身が持ち込んだハンドル周りを要所に、マフラーやリア周りはいつものモトリ節で統一。既存パーツのこなれた利用でまとめている。
「カニライザーとトップブリッジはお客さんが自分らで詰めた物を持ってきたんですよね。ハンドルもちょっと詰めて開いてみたいな(笑)。マフラーはパウコ製を加工したものでトランペットはどこにでもあるやつですよ」
フットコントロールは鉄棒を成形したいつものシンプルなパターンで、シッシーバーもまた然り。凝った造形の出来るメカニックを擁しながらも、余計なことをしないあたりが同店が有した平行感覚だろう。
メーターにはスミス製クロノメトリックをワンポイントに、シートは宮城県のジミードープが製作したベイツレプリカである。そして、エンジンも確実にプリペア。元々程度の良かったものを念のためクランクから組み直しての万全の備えだ。
まったくもってフラッシュバックする。ふとモトリガレージのラジオから流れ込んできた、あの頃のメロディー。今なんとなく口ずさんでみても、当時の歌詞は、いまだに忘れていないようだ。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1977 DETAIL WORK
HANDLE
市販のハンドルをオーナーが幅を詰めて外側に開いて加工。カニライザーとトップブリッジも持ち込みパーツ。
FRONT FORK
当初の条件は74スプリンガーであること。そこからカスタムはスタート。ライトはガイド製トラクターレプリカ。
GAS TANK
オリジナルペイントのハマータンク。そのまま付けたのではアンバランスになるためトンネルを加工して装着。
OPEN PRIMARY
1.5インチのオープンプライマリー。フットステーは鉄棒を曲げたシンプルな物で、シフトはラチェットトップ。
MUFFLER
エキゾーストパイプはすんなりとは付かないパウコ製を加工。マフラーのトランペットは既製品をセットする。
SISSY BAR STAY
シッシーバーエンドと中空パイプをつないだマウント箇所は同店固有の処理。配線は黒布テープでまとめる。
BUILDER’S VOICE
MOTORI GARAGE
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