H-D FLH 1956
MOTORI GARAGE
最前線に身を投じた
精鋭を揺さぶる風のつかい
初夏の新緑に調和するボバースタイルのパンヘッド。ことさら人目を引くでもなく、目にやさしい落ち着いたフォルムは、どこかしとやかなホステスを思わす赴きがある。出しゃばらず一歩引いた立ち位置ながら、その凛とした佇まいが固有の雰囲気を醸し出している。
製作は、仙台の『モトリガレージ』。ここ最近のアベレージから、安打製造機の異名を匂わすほどに外しのないカスタムを展開するホッテントリだが、今回の一台を語る上ではオーナーの存在抜きには始まらない。
まず、24歳の若者である。今や30代以上がボリュームゾーンとなるハーレーの世界においては貴重なヤングブラッドだが、もっと言えば、一台目のショベルヘッドに乗り出したのはハタチからだそうだ。
「バイクが大好きで、16歳で免許を取ってモンキーに乗ってました。あとはお父さんがZに乗ってたんでそれを借りたりとか。ハーレーを買ったのは20歳のときです。もうずっと乗りたくて、ショベルヘッドを手に入れました!」
いったいどれだけバイク好きなのかを、一発で分かる時系列で語ってくれたオーナーだが、残念ながらそのショベルの調子があまり出なかったことでわずか1年半で売却。そして、この’56年式FLHに乗り換えたと言う。
「そのショベルを別の店で買った時からモトリには頻繁に遊びに来させてもらってたんです。それでメカニックの人や鳥居さん(※モトリガレージ店主)の影響もあって、しばらくパンヘッドに乗り換える相談をしてました」
その後、どうせ乗るなら良い物に乗ろうと決断。『調子良く乗れるパンヘッド』をテーマに、ノーマルのハイドラグライドのような状態からオペレーションを開始。しかし、当初はもう少しチョッパー気味のオーダーだったが、同店のまな板の上で、『素材の持ち味を活かした』、さながら侘び寂びの心をまとった懐石風の作法で料理された。
「エンジンやミッションだけじゃなくて、ブレーキとか足周りもすべてレストアしてます。快適に乗れるように全部見直してる」
鳥居さんが語ったこの言葉は、オーナーが気持ち良さげに走る姿とシンクロを見せ、横を並走していたこっちにまでそのハッピーが届くようだった。職業はレスキュー。救助のエキスパートである若者の日常は常人の想像を絶するほどにタフだが、束の間の幸せは、夢のようにまばゆい。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1956 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルはヘリングスのHY3レプリカをチョイス。ライザーには純正を用い、グリーンのグリップはOWL製。
FRONT FORK
フォークは元々付いてたのをそのまま使い、値打ち物のライトも最初から装着されていたパーツとのこと。
GAS TANK
‘47年用ガスタンクは加工無しでは付かないため、パンヘッドのエンジンヘッド形状に合わせてリメイク。
ENGINE
エンジンとミッションをフルレストア。まだ納車して1ヶ月弱というパンモーターの走行距離は約600マイル。
SEAT
シートはオーナー持ち込みのセパレートタイプ。ハイドラ用フェンダーは店にあった物をエイジングして流用。
MUFFLER
シューペリアのトランペットマフラーをセット。好調のエンジンと相まり快活なエキゾーストノートを奏でる。
BUILDER’S VOICE
MOTORI GARAGE
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