Moto Guzzi V11 Sport Scura 2002
KATSU MOTORWORKS
限定車を大胆にモディファイ
高貴なカフェレーサーへ昇華
モトグッツィV11スポーツ・スクーラ。世界600台の限定車として生産されたこのマシンは、フロント/リアともオーリンズ製サスを採用し、前後ブレーキとホイールはブレンボ製、さらにカーボンフェンダーを装着するなど、当時のモトグッツィ最先端のモデルとして知られている。
そのスクーラの美点を活かしつつも、攻撃的で端正なカフェレーサーに仕上げたのがこの一台。手がけたのは福岡県宗像市に店を構える『カツモーターワークス』だ。
「オーナーさんのオーダーは3つ。『カフェレーサー』『モトガジェットのメーター』『インジェクションをFCRに換装』というものでした」。そう話すのは店主の勝本さんである。
まずは重厚な外装を全て取り外し、シートレールの製作に着手。ストックより攻撃的なポジションを得るために、シート高は5cmアップに設定。また、使用するマテリアルはSUS304と呼ばれるステンレスで、これは熱で歪みやすいなど鉄やアルミよりも加工が難しい素材のため、その製作には苦心したと言う。
そして同じく、エキゾーストにもステンレスを使用。純正パイプがエンジン下を走るのに対し、このマシンではモトグッツィの個性的なエンジンフォルムを強調すべく、エンジン上部とタンク下の間で水平に走る軌道を確保。その2本のパイプはシートカウル下で2in1のワンオフサイレンサーと合流し、ステンレスメッシュでモディファイされた排気口へと集束される。
トラディショナルなカフェレーサーへのリスペクトを垣間見るようなタンクは、1mmと1.4mmのシートメタルから製作。上部にはデザインを引き締めるブラックのダッシュパネルをあてがい、ガスキャップはシートレール、マフラーと同じステンレスにて創出。またタンク内にはバッテリーや電装類が納められている。加えてタンク下部にはスチール製ヒートガードを付帯して、その内部に断熱材を仕込んでパイプ熱からタンクを護っている。
印象的なグレーのペイントも勝本さん自身の手によるもので、これは単純なグレーではなく、ほんの少しのバイオレットをプラスした色彩。車体に配されたベアメタル、ブラック、レッド、ゴールドなど他のカラーとの均整を取ったものだ。
もちろんオーナーの希望通りにモトガジェットのメーター、FCRキャブが奢られ、スポーツ・スクーラは精悍なカフェレーサーへと一変。その佇まいは、街を軽快に切り裂くライディングシーンを見る者に夢想させる。
(写真・文/マツモトカズオ)
Moto Guzzi V11 Sport Scura DETAIL WORK
HEAD LIGHT
ヘッドライトはLEDバルブ(ボディをブラックアウト)に換装。正面からのエンジンの迫力はグッツィならでは。
FRONT WHEEL
スポーツ・スクーラ標準装備のブレンボキャリパー&ホイール。タイヤはメッツラーのレーステックRRを履く。
GAS TANK
スチールで製作されたタンク。上部に配されたダッシュパネルと下部ヒートガードの黒がシルエットを引き締める。
CARBURETOR
ストックのインジェクションからオーナーの希望のFCRキャブに換装。そのセッティングには苦心したという。
SEAT RAIL
サンディングに時間を費やしたというステンのシートレールが輝きを見せる。テール&ウインカーはケラーマン。
MUFFLER
シートレールの下に納められた無骨なサイレンサー。このアングルから見るステンレスパーツの迫力は圧巻。
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