HARLEY-DAVIDSON S&S PANHEAD
A-SYKS MOTOR WORKS
アルコールで探る
共通のビューティフル
店主の田中さんは、相変わらずの笑顔で迎えてくれた。対面した途端に、思わずこちらも笑みがこぼれてしまう、そんな人だ。一部分ではなく顔全体で笑う人って実はそんなに多くはない。でも、ただ単に満点の表情なだけじゃなく、ふとした時に見せる鋭さもなかなか印象的だ。この、『締めるときは締める』メリハリの効いた姿勢が氏の人間味に厚みを持たせている。
「お客さんが乗ってるビートルがあって、それと似た色が良いって。あとは身長の高い自分に合わせてタンクのたっぱを上げて欲しいというのと、マフラーのフロントを左に回してここから出してくれって。言われたのはそれぐらいかな」
ほぼお任せのオーダーである。お客さんと何度か酒を飲み交わした席でジャブを小刻みに打ちつつ、「きっとこんなのが良いんだろうなあ」、と想像して仕上げたのがこのパンヘッドだ。
「ほとんど意見は言われてない。ほんとヤスオ(※スタッフ)としかディスカッションしてないから。だからこのタンクもエグリを入れてくれなんて言われてないの(笑)。なんかちょっとさみしいなって、動きがあっても良いかなと思って勝手にエグっただけ」
とは言え、人それぞれ好みは違う。勝手に作ることの怖さはないのだろうか。
「さすがにまったく分からないじゃなくて、好みは少しずつ聞いてるから。あとはまあ、ウチはバイクをショーカスタムっぽくしてないから、この範囲だったら絶対に平気っていうのがどこかにあるの。それはなんとなく見えるんだよね」
そもそもエーシックスが好きで足を運んできてるお客さん達である。田中さんの勘所に頼るまでもなく、わずかな要望さえ押さえてくれればあとは一任している面が大いにあるのだろう。
振り返ると、カスタムする上で出てきたワードは3つぐらいだったそうだ。『タンクのたっぱを上げる』、『シーシーバーは低め』、『色はビートルと似たやつ』。そしてそのキーワードを落とし込んで完成させたのが、いかにも同店らしい、派手さはないけど手抜かりも無い一台だ。
12月下旬。ぽかぽかと、あたたかな陽気のなかこのバイクを撮影していたときのことだ。まず、近辺に住むおじさんに声をかけられ、その次は、ウォーキング中の外国人カップルがすれ違いざまに、「ビューティフル」とひと声。客観的に、決して作り込みが炸裂しているわけではないが、他人が思わず声をかけたくなる輝きがこのバイクにはあるようだ。
HARLEY-DAVIDSON S&S PANHEAD DETAIL WORK
HANDLE
ハンドル周りはハマーサイクル製トップブリッジライザーに、エーシックスオリジナルのハンドルを装着。
FRONT FORK
フロントフォークには74スプリンガーをセット。ボリューム感のちょうど良いライトは社外のベイツタイプ。
GAS TANK
鉄でワンオフしてビートルのトーガホワイトに近しい色で塗装。ピンラインはシェイキン清水さんが担当する。
ENGINE
エンジンはS&S製パンモーター。キャブはGキャブで、カバーはエーシックス×MMMのオリジナルパーツ。
MUFFLER
ミッドハイのショットガンで、オーナーの希望によりフロントのみ左に回り込んでから右へ出るレイアウト。
SISSY BAR
高さを抑えたシッシーバーに定番のデュオテールを付ける。フェンダーは汎用品では物足りずワンオフで製作。
BUILDER’S VOICE
A-SYKS MOTOR WORKS
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