HARLEY-DAVIDSON XR1000 1984
SHIX MOTORCYCLES
限定車でも容赦しない
ピンポイントの痛打
なんて言うのか、シックスらしいバイクである。XR1000という名車をベースに、より洗練させたレーサー風に仕上げるのではなく、あくまでも遊び心のあるストリート仕様に。また、大きく手を加えないでも、ピンポイントの手数でショップのカラーを全体に満遍なく行き渡らせる。そんなツボを知り尽くした整体師が手掛けたかの一台である。
製作したのは、代表西村さんの右腕としてカスタム全般を任せられた松村さん。これは、かつて自身が乗っていた車両をお客さんが引き継いだ物だと言う。XR750のシリンダーヘッドとXLXの腰下をドッキングさせたホモロゲーションモデル(※レース参戦の認可を得るために限定生産したバイク)のXR1000を惜し気もなくスイッチ。そして、見る人が見れば思わずニンマリしてしまう、かのスーパーライダーのマシンカラーでまとめられている。
マート・ローウィルである。映画『オンエニイサンデー』にもスティーブマックイーンと共に出演した人物で、かつてハーレーワークスのダートトラック・ライダーとしてトップの座に君臨した伝説のライダーだ。彼が愛したKR750のカラーリングがこのトリコロールであった。
「カラーリングはマート・ローウィルのバイクを真似た感じですね(笑)。イメージしたのは昔のトラックレーサーで、外装を変えて遊んでみた。まあXR1000だとあまりいじらない人が多いので、逆にそこを贅沢に触ってみようと。あとはノーマルだと全体的に重いイメージがあるんで軽くしたかったんですね」
前後ホイールはストックサイズの19/16インチで、フロントのみアルミHリムに換装。そしてノーマルフォークのボトムケースを赤色に塗り、タンクは上下の高さを詰めてリメイク。リアフェンダーはFX系のパーツを加工しておいしい箇所だけを使った物だと言う。更にマフラーも、ストックのエキパイにドラッグパイプを合わせたイージーワークである。
特に加工物で大変だった箇所は無く、しいて挙げるならエンジンオーバーホール時の部品の調達だったそうだ。氏がコンロッドを焼き付かせてしまったのを機に腰下からやり直したエンジンは、部品自体が少ないこともあって作業はスムーズに進まなかったと言う。確かに、ホモロゲーションモデルであることを考えれば、その労力はかなりのものであったことだろう。
しかし、希少なバイクを特別扱いすることなく、逆に、他人がやってないからやるというスタンス。そしてそこにある、遊び心。手数やクオリティでは語れないオリジナリティが同店の持ち味だ。
HARLEY-DAVIDSON XR1000 1984 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルは独特な形をしてて面白いという理由で、ショベルFXEのノーマルタイプを選択。相性良好である。
FRONT FORK
ノーマルフォークを2インチローダウン。ボトムケースを赤に塗りフォークブーツと合わせてアクセントにする。
GAS TANK
タンクは上下を詰めて低くリメイク。トリコロールの塗装はマート・ローウィルの愛車KR750に倣ったものだ。
ENGINE
ホモロゲーションモデルのスペシャル仕様をオーバーホール。ツインキャブにノーマルのデロルトを装着する。
MUFFLER
ノーマルのエキパイにブラックアウトしたドラッグパイプをセット。この辺のチョイスに同店の個性が覗く。
REAR FENDER
FX系を加工して使ったリアフェンダーは絶妙な長さにショートカット。テールには王道のスパルトを付ける。
BUILDER’S VOICE
SHIX MOTORCYCLES
住所 | 大阪府八尾市西高安町1-83-1 |
---|---|
電話 | 072-924-7540 |
FAX | 072-924-7543 |
SHOP | SHIX MOTORCYCLESのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 火曜日 |