
H-D FLH 1978
FATECH
厳格に駒をすすめる
物作りという名の小宇宙
とめどない情熱を物作りに注ぎ続けている。カスタムというよりは『物作り』と和製語で表現した方が適切なその厳格な仕事は、妥協がなく、ホットロッドシーンで用いられてきたトラディショナルな鈑金手法をもって深化を続けている。
1960年代後期のカフェレーサーを起案としたツインキャブのショベルヘッド。スイングアームフレームで練り上げたスタイルの、観衆への一発目の衝撃はもちろんエンジンだ。

「エンジンは93cu.in.(約1525cc)でトレット&オズボーンのフライホイールと、スーパー軽量でオーダーしたキャリロのコンロッド。で、ヘッドがクロスフロー型のXRスタイル・ツインキャブになるように手作りしてます」
エンジン内部の吸気と排気の経路を、可能な限り直線的にし、互いに交差するように配置させたクロスフロー。作り手の渡辺さんにとって初となるこの効率的な吸排気形式を採用し、自身の未開ゾーンを開拓している。

一方、骨格と外装に目を転じたい。まず骨格は、スイングアームフレームを活かしたモノサス仕様とし、そこにオーリンズ製のM8ソフテイル用ショックを極力外側に出張らないように配備。
スイングアーム自体は純正35φパイプより若干太い1-1/2”(約38mm)φでスクラッチビルドしたもので、それに準じてアクスルプレートも削り出しで製作された。

「リアサスを2本付けて作るとなるとどうしても幅が出る。そこで幅を狭くして目立たないようにと逆算で考えていくと、モノサスを左側にオフセットだなと。そんなところからスタートしてます」
また、当初掲げた1960年代の雰囲気をイメージしてセリアーニフォークやフォンタナドラム、ボラーニリムなどの下地作りにも配慮するが、ガソリンタンクやシートカウル、マフラーといった本領の物作りが舌鋒(ぜっぽう)鋭い。

ガソリンタンクの段差を取り入れた造形は、最初に凹ませておいた2枚の鉄板を溶接でつなぐのではなく、ビードローラーで1.0mm厚の一枚板に溝を入れ仕上げた、いわば同店の奥の手が冴えた一品である。
続いてシートカウルの内部は、後方右側がオイルタンクで左側が配線収納となり、さり気なギミックで組成。そして、往年のヴィンセントレーサーから気付きを得た水平に並列させたマフラーはほぼ手曲げで作ったものだと言う。

渡辺さんは、全力を尽くしたからこの先自分の以外ツインキャブはやらないと、頬をゆるめた。その表情には、長かった道程への充足と安堵がにじんでいる。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1978 DETAIL WORK

GAS TANK
1.0mm厚の鉄板から製作した分割タンク。ダッシュのメッシュ内にモトガジェット製デジタルメーターを仕込む。

ENGINE
93cu.in.ショベルモーターはクロスフローのXRスタイル・ツインキャブに。醇美なオイルラインも見せ場となる。

REAR SUSPENSION
モノサス化でオーリンズ製M8ソフテイル用を設置。サブフレームを内側に湾曲させ外側への出っ張りを抑制。

SEAT COWL
カフェレーサーの起案を具象。後方右側はオイルタンクとなり左側に配線を収納。シートはアトリエチェリー作。

MUFFLER
往年のヴィンセントレーサーとクロッカーからインスパイアされた、水平に並列させた2インチ径マフラー。

SWING ARM
純正パイプより若干太い1-1/2”(約38mm)φで作製。ショック長とチェーンとの連関性を踏まえレイアウト。
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H-D FLH 1966





















