
H-D FX 1977
FRANKEN CUSTOM WORKS
単騎決戦で空を切る
バブルガムキャビン
「海が好きなオーナーで、そのイメージで作ってもらえたらというオーダーを受けて作ってます。色味は綺麗なブルーにして、あとはフレームのダウンチューブやステップの造形とかも自分なりの考えで具現化した感じですね」

よそに迎合することなく、自分の信じた道を単騎で猛進する作り手である。その物作りに対する熱量は高く、胸に秘めた未来への心意気の濃度も同じく高い。主人の老林(おいばやし)さんのように、ここまでほとばしるものを抱えたツワモノはこれからの時代の希望だ。

海をコンセプトにしたコーンショベル。フレームのダウンチューブの造形は船の船首部分を思い描いたもので、鉄棒を巻き付けたデザインのステップやシフトノブは船には必須のロープからソースを取ったものである。
他にも、ガスタンクの窪みに添えられた『羽』は船首に飾られる象徴的なオーナメントの風潮にならい据えた一品だ。

「見せ場はどの車両もそうなんですけど、フレームとタンクがバイクの顔だと思ってるんでそこですかね。まあタンクなんかはすごい大変でした」
タンクの縦横に這わせた丸棒が核心である。その丸棒には通常、天板のモールディングのように左右の両方からパテを打つのが定石だが、両サイドとフロント部分に関してはパイプ形状が残るようにと片側だけのモールディングで成形。タンクにぴたりと合ってなければ隙間が出てしまって成し得ない、敢えてごまかしの効かない工程を踏んでいる。

天板の窪みに添えた『羽』も同様で、溶接で一体化させるのは簡単だという判断で、タンク裏から留めることで取り外しのできる脱着式とした。曰く、より手間でメンドクサイことをしていると話す仕草には、氏を象徴する骨のある自信があらわとなる。
鉄棒を巻き付けたステップやシフトノブにしても、旋盤加工ではなくアナログなハンドメイドにこだわることで手作業ならではの雰囲気を描出。また、リアフェンダーステーの上部とハンドルクランプにほどこした鋳物風処理など、目指したゴールへの成熟度は深みを増す。

エンジンシリンダーの黄金色と合わせたチェーンやブレーキキャリパーなどのほどよい差し色も尾を引く旨味がある。
「’90年代とかは全部塗られてたけどその良い所を取ってなにか新しい感じを出したい」。老林さんが常に語るこの言葉は、王道の美的フォルムにしかと敬礼した、周到なバランス感覚のもとでいよいよ本懐を遂げる。
HARLEY-DAVIDSON FX 1977 DETAIL WORK

HANDLE
操作性とライディングスタイル共に良好なハンドルバー。中央のクランプは鋳物風にリューターなどで加工。

FRONT FORK
純正フォークは8インチオーバーに。適度なロング量で若干の攻撃性を付帯しチョッパーテイストとマッチング。

GAS TANK
天板以外の丸棒を這わせた部分は片側だけモールディングした力のこもる部位。『羽』は取り外し出来る脱着式。

DOWN TUBE
船首の鋭角的な部位をイメージして造形したダウンチューブ。『海』のテーマを要所で自然に具象化している。

FOOT PEG
船のロープを思い描いてカタチにしたフットペグ。機械加工ではなく丸棒を巻き付けハンドメイドで創作された。

REAR FENDER
フェンダー後端を鈑金で反り上げ、フチに鉄の丸棒を沿わせて溶接。フェンダーステーの上部は鋳物風に処理。
BUILDER’S VOICE
FRANKEN CUSTOM WORKS
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