
H-D FLST 1989
YOSSY’S MOTORCYCLES
時代に踊らされない
フリスコチョッパー
ファッション用語に「こなれ感」というのがある。気負っていない自然な着こなしのことを示すのだが、まさにこのフリスコチョッパーは「こなれ感」という形容がピタリとハマる。
フリスコスタイルは、現代において主要なカスタムカテゴリーのひとつだ。しかしこの1台はそうした巷で風を切るフリスコとは若干趣(おもむき)を異にしている。

エンジンはカスタムベースとして信頼の置けるエボリューション。フレームは純正のソフテイルフレームで、リアフェンダーは幅詰めがされている風でもないボブフェンダー。
だが、そこかしこに巧妙なカスタムが施され、絶妙ともいえるバランス取りによって「こなれ感」が溢れ出ている。

その大きな要因となっているのが、ワイドグライドがベースということ。そのためガスタンクをあえて詰める必要性がなく、スポーツタンクはそのボリュームのままフリスコスタイルの真骨頂ともいえる高座に配置されている。とはいえポン付けではなく、ガスキャップやコックの位置はあるべきところへと移動加工している。
全幅が広いのに対し、フロントフォークを6インチオーバーとすることで全長は長くなり、チョッパーらしさも見え隠れするようになる。ただ胴長なスタイルに落ち着かないよう、一癖与えているのがリアフェンダーまわりだ。

リアフェンダーをショート化すれば胴長感は消える。そのために用いられる技法が、短いフラットフェンダーのカチ上げだったりするが、それでは精彩を欠く。
このチョッパーは高度な大人の風采を漂わすべくボブフェンダーにこだわり、フェンダーをカットせずスイングアーム下側まで活かすことでリジッドフレームのような錯覚を覚えさせているのだ。

ポップに見えがちなホワイトレザーのシートも、全体のダークなグリーンカラーにより落ち着きを取り戻し、逆にそれが口当たりよく上品に際立っている。
フロントは19インチでリアタイヤは16インチの組み合わせ。エボベースのフリスコスタイルに多いフロント21インチにしてしまうと、ノーマルのFXST然となりワイドグライドをベースとした意味がなくなる。真横から見た時のこのホイールバランスもまた、肩ひじを張らない熟者のたしなみと言えよう。

「あんまり時代に踊らされてないし、長く乗れそうな感じがするじゃないですか」と作り手の白井さんが控えめに答えた言葉に、ファッションやブームにはない重みを感じた。
(文/野上真一)
HARLEY-DAVIDSON FLST 1989 DETAIL WORK

HANDLE
ショベルの三つ又にロングライザーをセット。ハンドル周りのスイッチ類を排除しすっきりしたレイアウトに。

FRONT FORK
純正のワイドグライドフォークをベースに6インチオーバー。ナローではないこのスタイルがこなれ感を生む。

GAS TANK
幅詰めをしていないタンクにダークグリーンマイカの塗装をビルダー自ら行い、グリム氏によるピンストを施す。

SWITCH
ウインカー/キル/ホーンなどスイッチ類を左シート下のボックスに集約。メタルの質感が全体と調和する。

REAR FENDER
ボブフェンダーはスイングアーム下まで活かしてマウント。画一的でないフェンダーステーの造形もポイント。

MUFFLER
スラッシュカットのマフラーはパウコ製。サイドマウントのプレートはリアディスクに干渉しないよう設置。
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