H-D EARLY SHOVELHEAD 1969
RE:RIDE CUSTOM & SERVICE

いつまでも続く
旅するスイミー

一見寡黙だけど、ひとたび懐に入ってしまうと親しみやすさが隠しようもなく表に出てしまう店主だ。今まで付き合いのあるお客さんから初めての人までを隔てなく同一線上で応対する山内さんは、2年前のショップオープンと同時に忙しない日々を送っている。

その恵まれた環境は、外的要因ではなく内的要因、つまり店主の物腰あってのものだというのは疑いようがない。

『横浜ホットロッドカスタムショー』に出展したこのアーリーショベルは、4速フレームありきで、旅に出かけたいというオーナーの意向を汲んでカタチにしたものだ。しかしその始まりはカスタムからではなく、エンジンの修理からだった。

「オーバーホールが最初に計画としてあったんで、それありきのカスタムです。それでこれ最初はリジッドフレームだったんですけど、本人がヘルニアになっちゃったんですよね」

そこで『乗りやすいバイク』という指針に舵を切り、リアショック付きの4速フレームに改善。細かい部分に関してオーナーは「好きに作っていい」とのことで、山内さんはまずガスタンクから作業を進めた。

旅が前提のカスタムのためスポーツスターやピーナツタンクといった小容量のタンクを除外し、大容量の純正タンクを起用。そのままでは面白くないためカラーリングを変え、当時物のクロームのトッププレートを被せてアクセントにしている。

また氏は、「どこでインパクトを与えるか」に悩んだそうで、フロントフォークとマフラーに白羽の矢を立てた。まずフォークは、純正33.4φのインナーチューブのみ6インチエクステンド。三つ又には社外品の5mmワイドを使い、それに合わせてホイールハブにカラーを噛ませ調整した。

次にマフラーは、低く長く見せたかったことでその造形へと書きおろし。最初にフロントパイプを伸ばすイメージで作り、続いてリアパイプを一度外側に出した後に内側へ追い込むように製作。コーナーでもぎりぎり擦らない程度のマウント位置だと、氏は走りの面に関してのコメントも添える。

「まあ乗りやすく作ったんで、本人が旅に行きたいっていうんで、なんかお客さんのオーダー通りに出来たかなという感じですね」

バイクに長年乗っていれば人それぞれ、それはそれはいろんなことがある。乗り心地の面しかり、操作性やポジション面もしかり。でも、その乗り手に応じてベストを尽くす作り手の存在で、面々はいつまでも夢のなかを泳いでいられる。

HANDLE

汎用のライザーに、ハンドルはハウゼンブロス製プルバックバーを加工して装着。リラックスした乗車姿勢を生む。

FRONT FORK

純正33.4φフォークを使いインナーチューブを6インチ延長。三つ又には社外品の5mmワイドをセットした。

GAS TANK

旅をテーマにしたカスタムのため容量のある純正タンクを採用。上面には当時物のクロームプレートを付帯。

MUFFLER

アグレッシブな雰囲気のワンオフのマフラー。インパクトを与えるセクションの候補箇所として丹念に造作した。

SEAT

チョッパーテイストを高めるフリンジがポイントのシート。走風でなびく様がひときわ旅情をかきたてる。

SISSY BAR

純正フェンダーをリメイク。そこにリサイズしたシッシーバーをセット。ストラットはレーザー切り出しのワンオフ。