H-D FXRS 1993
MOTO DIRECT

間違いなく選び取る
連鎖するみやびな正答

ハーレーだけではなく、『Z』を主柱にして国産4発系やリッターネイキッドの依頼も引きもきらない。この毛色の違う両者を同格で愛（め）でる店主の寺川さんだが、そもそもハーレーへの関心を深めたいきさつはある映像を見たのが始まりだった。

「元々こういうスタイルのハーレーを乗ってるわけじゃなかったんです。でも向こうのフリースタイルモトクロスとかをDVDで見てた時にこういうハーレーも出てきてウィリーとかしてるじゃないですか（笑）。そこからですね」

これまで土の上で遠慮なく遊んできたこともあり、そうしたちょっとヤンチャな光景に胸をつかまれた。そしてその時目の当たりにしたスタイルへの憧れもあって、今回、雰囲気重視でカスタムを製作したと言う。

基本骨格には手を加えずに、ノーマルとカスタムパーツを手綺麗に共生させた。まず前後ホイールとフェンダー、ガスタンクにノーマル品を使い、マフラーはオートスポーツ製でフェアリングにBPパフォーマンスパーツ製を着装。すべてをカスタムパーツで固めるのではなく、ピンポイントの起用で見栄えを一新させている。

また、同店が決して無視しない常道もしかと内包。基本整備の部分がそれで、エンジンオーバーホール後の調整に始まり、足周りの検証といった箇所にもたっぷりと自身の熱量を投入。そもそもカスタムオンリーの畑ではなく、どちらかといえばこうした性能面と真摯に向かい合ってきた氏ゆえのエイミングである。

一方、カラーリングにも吸い寄せられる。全体を押し包むホワイトとブルーの鮮やかな色どりがひとしおのハイライトだが、その色味を引き出す他のパートのブラックアウトが巧みだ。

エンジンを始め前後ホイールやフォークを黒一色に染めることで明度とのコントラストを高め、このダークトーンによる引き締め効果で膨張色との華麗なる共演を描ききっている。

「白ベースでシルバーリーフと黒だけ注文してあとはお任せでやってくださいって。元々こういう色になる予定はなかったんですけど、最終自分好みの色にしてもらったんで良かったかなと（笑）」

パフォーマンス系にふったフォルムのFXRSコンバーチブル。闇夜に同調するダークトーンのマシンが根強い人気を集めるカテゴリーの中で、この鮮やかなホワイトカラーもまた玄妙。それは、色眼鏡なく純正品を混同させたパーツ構成と、要所をブラックアウトしたリッチな色彩感覚の元で初めて成果をもたらすものだ。

FAIRING

表情を決定づけるフロント周り。自店で取り扱うBPパフォーマンスパーツのナローSTフェアリングを装着。

HANDLE

パワープラント製ライザー&ブラケットに、ハンドルはスターモーターサイクル製。メーターはノーマルとなる。

FRONT END

フォークとフェンダー、ホイールは純正を使い各々ペイント。フォークインナーチューブにチタンコートを施す。

GAS TANK

タンクもノーマルで塗装はチリピンストライピングが担当。必要最低限の要望であとはお任せで依頼したと話す。

MUFFLER

マフラーはオートスポーツ製をセット。ブラックアウトで引き締めた車体下部にひときわ存在感を誇示する。

REAR SHOCK

ショックはオーリンズ製ブラックラインを。チェーンやホイールは黒で統一し、スイングアームはシルバーで彩る。