HARLEY-DAVIDSON FXST 2000
MACHERIE
ティアドロップの土台を支える
ハンマリングとレーザー測定
「元々はこのバイクのオーナーが、『こういうタンクを作れるか』って紙粘土にして持って来たのが始まり。それを実際に鉄でカタチにしてみたら気に入ってくれて、あとはほぼお任せでオーダーを受けることになった」
サーファーのオーナーは、そのタンクにエイのイメージをプラスして欲しいと加えた。そこでマシェリ代表の藤田さんは、流れるようなアールを描いたフォルムの中に、有機的なえぐり加工を施すことでその要望に対応。見るも美しい、タンクとリアフェンダーが一体となったボディキットをメイクした。
見惚れるかの流線形が特徴的なそのデザインは、聞けば、自然をモチーフにした世界的工業デザイナーのルイジ・コラーニからの影響を受けていると言う。カスタムビルダーの引き出しとしては珍しくも、実に説得力のあるイメージソースだ。そして藤田さんはこのフォルムを、『ティアドロップ(涙の形)』と表現する。
「綺麗にフィニッシュするんで作り手の労力は分かり難いかもしれない(笑)。今回はやっぱりタンクが大変でしたね。一枚鉄を丸く曲げていって、そこにエッジを立てていくわけですから。バランスを取るのが難しかったかな」
とにかくハンマリングを繰り返して成形したところを溶接で点付け。それにレーザーを当てて左右対称を確認し、わずかでもズレがあるようならもう一度外してその箇所を作り直し。この繰り返しである。他のカスタムショップの多くが目視で確認するところを、わざわざレーザーを使って左右対称を計るのが同店の特徴だろう。そしてその為には、専用ジグを数種類用意する必要があるのだ。
「床に置いて測定するわけにはいかないんで、必ず水平の場所で垂直を見れるようにしてる。それには作った物を置くジグと、それを測定するためのレーザー用のジグもいる(笑)。新しい車両を使ったカスタムでは、後ろから見た時の絶対対称を取るのが難しいんでその辺は気を遣って作ってます」
更に、シートレスのデザインも見逃せないポイントだ。一見、見るからに座り心地がハードに思えるが、実際はそんなことは無い。オーナーのお尻に合わせて、点で当たる部分をどんどんシェイプしていき、最終的に点ではなく面で座れるように成形しているからである。この発想はF1から来ているそうで、正に機能美と言えるセクションだ。
エイやルイジ・コラーニ、F1と、多くのキーワードが舞う中でフィナーレを迎えた『ティアドロップスタイル』。広い視野で得たジャンルレスな引き出しと、高度な鈑金技術を併せ持ったビルダーの成せる業がここにある。
HARLEY-DAVIDSON FXST 2000 DETAIL WORK
FRONT FORK
伊国チェリアーニのフロントフォークに、トリプルツリーはCADシステムも扱う同店が設計したワンオフ。
FRONT WHEEL
21インチホイールとブレーキローター、キャリパーにPerformance Machine製を奢り、デザインを統一する。
GAS TANK
一枚鉄からハンマリングで成形した見るも美しいフォルム。両サイドのえぐり処理など高度な加工が施される。
MUFFLER
ワンオフのステンレス製マフラーにはネームプレートをセット。車体内部にはレジェンド製のエアサスを装備。
SEAT
タンク一体のシート。F1からアイデアを得て、点ではなく面で座れるようにすることで良質な乗り心地を生む。
REAR WHEEL
リアもホイール、ローター、キャリパーすべてがPerformance Machine製。スイングアームはレビュフィニ製。
BUILDER’S VOICE
MACHERIE
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