
H-D FXWG 1980
WEST VILLAGE CUSTOM CYCLES
小さくまとまらない
はじけ飛ぶ夕刻の乱打戦
今年の『2024ジョインツ』に出展したバイクは、さかのぼること10数年前に製作したフルカスタムだった。では、なぜそれが今なのか? 主人の西村さんにズバリ斬り込むと、現代におけるアンチテーゼといったたぐいの答えが返ってきた。

「皆さん持って来てるバイクはいわゆる普通の、オーソドックスなチョッパーというのがほぼほぼなんで、敢えてその逆を狙ったというか。今の時代だからこそ『こんなのもあったんだよ』と。自分的にもこれ意外とやってあるでしょって(笑)」

当時、あまり公にはお披露目していなかったこともあって今回の出展と相成った。しかし、この一台だけを持ち込んだかといえばそうではなく、オーソドックスなチョッパーを2台携えた上でのこちらの展示である。なので、単によそに目を向けない訳知り顔の人間が謳うアンチテーゼとは違い、そのメッセージにはひとすじの芯が通っている。

実は西村さんにとって思い入れの深い一台でもある。ハーレー専門店として心機一転、新しい店へ越した時に最初に受けた特注のカスタムで、「普通のは嫌だからなにか凄いの作ってよ」と、これ以上ない言葉で門出を祝福された。
そこでイメージしたのは、オーナーの好みにちなんだオールドスーパーカー。ランボルギーニといったイタリア車が持つ荒々しくも流麗な『美』を頭にめぐらせ、そのイメージをカタチに落とし込んでゆく。

まずガスタンクはそのイメージに沿い、往年に人気を博したWCC製をすべてバラし、一枚一枚をつなぎ合わせて流線形のデザインへと仕上げていった。また、リアフェンダーも前方からの流れをスムーズに受け止め成形されたものだが、この車格にひと際存在感を放つのがフレームダウンチューブ下側から左右へと分岐するマフラーだ。
「一個凝りだすと当然ほかも凝らないといけない。その中でもマフラーは一番凝ったところ。ひたすらどういう風にすれば攻撃的な、マッスルなイメージになるかっていうのでじゃあ下に出てたら面白いんじゃないかなって」

今の時代、ここまでアバンギャルドな軌道を描くマフラーにはなかなかお目にかかれない。それはサバイバルナイフを流用したシフトノブや2連装着のエーデルブロックキャブですらあやしいところだろう。
昔のカスタムには小さくまとまらない魅せるための駆け引きがあり、作り手側もその欲が強かったように思う。そしてそれが、今に続くシーンの熱を沸騰させていたのも紛れもない事実である。
HARLEY-DAVIDSON FXWG 1980 DETAIL WORK

FRONT FORK
ほどよくエクステンドさせたスプリンガーはW&W製。オーダーメイドしたフレームのネック角と均衡させている。

GAS TANK
WCC製をベースにして一度バラしてからエッジを入れたストレッチデザインで製作。仕上げはマットカラーで。

HAND SHIFT
操作はフットクラッチ&ハンドシフトでノブにはサバイバルナイフを使用。ワイルドな雰囲気を醸しだす。

DOUBLE CARBURETOR
見た目の迫力を狙った2連のエーデルブロック。インマニで一つにつながるので意味あるか分からんと苦笑する。

MUFFLER
最も凝った作りだと話すマフラー。ダウンチューブ下から左右へと分かれ、エンド部は厚みを加えた造形とした。

REAR WHEEL
単一のリアフェンダーにPM製17インチホイールを合わす。キャリパーはフロント分も含めたPM製の2連装。
BUILDER’S VOICE
WEST VILLAGE CUSTOM CYCLES
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|---|---|
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| SHOP | WEST VILLAGE CUSTOM CYCLESのショップ紹介 |
| 営業時間 | 13:00 ~ 21:00 |
| 定休日 | 水曜日 |

H-D XL1200S
H-D FLH 1975







