H-D XLH883 2004
D-club Custom Ranch
砂塵の中で正常進化した
スクランブラーの非常線
ハーレーのカスタムといえば、極力シンプルにまとめ上げたチョッパースタイルが主流だが、カフェレーサーやボバー。そして、オンではないオフロード系のダートやスクランブラーといった土の匂いが立ち込めたカスタムスタイルも同じように根強い人気を博している。
こちらの一台は、そのオフロード系のテイストを色濃く宿したスクランブラースタイルで、ベース車となったのは『スポーツスター883』。あらゆるカスタムに変幻する良材としてファンに支持されるモデルだが、ここでもオフロード系へのトランスフォームでその潜在性の高さを見せつけている。
まず最初に、『スクランブラースタイル』について触れておきたい。サイドアップマフラーとブロックタイヤが特徴となるこのカスタムの起源は1960年代までさかのぼる。当時まだオフロードバイクは存在してなく、道路も未舗装路が多かったことから、必然的にオンロードバイクにブロックタイヤとアップマフラーを取り付け誕生したのが始まりとされている。
その実用性を踏まえて生まれたスクランブラーだが、今回はチョッパースタイルで鳴らしてきた鳥取県『Dクラブ』によるニューワークだ。ことの発端は、オーナーが持ち込んできたパーツからだと言う。
「パーツをほとんど持ち込んできてこれを取り付けて欲しいと。だからウチでやったのはそれを取り付けるブラケットやステーを作ったぐらい。あとは車体とエンジン周りのパウダーコートですね」
話を聞くと、すでに30年近い付き合いになる最古参のお客さんだそうだ。そんな相手からの依頼ということもあって、息のあった感覚で作業は進行。ボリューミーな外装一式はポン付けで済まない箇所のマウント部を製作し、同じく持ち込まれたヨシムラ製サイレンサーの装着にあたってはマフラー中間部をワンメイク。続いて、自社のパウダーコートで仕上げの決定打を加えた。
全国の同業プロショップからの依頼が絶えない同店のパウダーコートだが、このマシンにはホイールやプーリーを全艶ブラックで、エンジンのロッカーカバーとプッシュロッド、グリップをオレンジで着色。エンジンにアクセントカラーを入れることで節度よくひと目を引いている。
立ち位置的にはアドベンチャースタイルにも近似したスクランブラーだが、そのオンロードバイクより派生した’60年代からの歴史を見れば、このマシンが現代におけるスクランブラースタイルの正常進化版なのが分かる。
HARLEY-DAVIDSON XLH883 2004 DETAIL WORK
HANDLE
スクランブラースタイルには必須のアップタイプのハンドルバー。グリップにはオレンジのパウダーコートを。
FRONT FENDER
フォークはノーマルでオフスタイルのフェンダーはオーナー持参の一品。外装はオレンジカラーで統一する。
EXTERIOR
外装一式は30年来のお客さんが持ち込んだ物。FRP製のエクステリアはタンクの上に被せる格好でマウント。
ENGINE
注力する自社製のパウダーコート。エンジンロッカーとプッシュロッドをオレンジカラーに。マフラー中央はワンオフ。
REAR FENDER
後部が跳ね上がり軽快な印象を与えるスクランブラースタイルのリアフェンダー。当然ブロックタイヤを履かす。
MUFFLER
ハーレーカスタムには珍しいチョイスのYOSHIMURA製サイレンサー。サイドアップデザインに巧く合わせる。
D-club Custom Ranch
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