H-D SHOVELHEAD SPCN
FATECH
舞い降りる
深紅のいかずち
並みならないパッションをたぎらせている。物作りに対して、真向勝負の身構えはショップ創業時から一貫している。また、金属加工への信念と技術の研鑽は日々アップデイトされ、それを公言してはばからない。
内に秘めるのではなく外部へ謳うことで、ある意味自分の退路をふさいでいるとも言える。行くしかないし、やるしかない。自ら世間のシビアな監視下に身を置くことで自身を律し、描いた理想へと邁進(まいしん)する。店主の渡辺さんは、そういう人だ。
得意のフルスクラッチできめた一台は、1500ccのチューンドモーターを積んだショベルヘッド。これは、10年近く前に既に組み上げていたスペシャルを、オーナーが付いたのと同時に更に手を加えたものだと言う。
「コンプリートじゃなくて一個ずつパーツを集めて組み上げていったエンジンですね。エッチビームのロッドを入れたり、デルクロンケースにしたり、ジムズのカバーとかリフターを集めたり、いろんなことをしてるんだよ」
かつて構築した93キュービック(1500cc)エンジン。それを新オーナーに向けて、S&S製クランクをトレット&オズボーン製トルクモンスターに変更。また、製作から10年の間に培った知恵や技量といったノウハウを惜しみなく注ぎ、現時点でのベストが尽くされた。
「この厚い重いクランクを入れると振動が減って、排気量アップしたエンジン特有のビリビリ感がなくなるんだよ。オーナーさんも速さを求めてたわけじゃないので、この乗り味とルックスのところでクラシックなアメリカをイメージして作ってますね」
さて、フレームワークである。モーターショップ製を思わすアクスル部分をループ加工した骨格はワンオフで製作。その際、ホイールベースが短くなるようにリアを1インチショート化し、その分フロントが詰まった印象になるためレイク角を33度に設定。更に、視覚的効果をかんがみてマフラーを長めに取ることで、マスに集中し過ぎない前後の均衡が取れたフォルムを創出した。
そこに、ガスやオイルタンク、リアフェンダーなど、伝家のシートメタルを駆使した外装パーツが合わさり、練り上げた完成度で着地させている。そして、この物作りの土台のところにある源泉が、『ホットロッド』だ。
「間違いなく手で作ったってことじゃないかな。あとそこに情熱が入っているか。走りが熱いか。そういうのがホットロッドだと思うけどね。まあそれがウチのスタンスでもあるんだよ」
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD SPCN DETAIL WORK
FRONT FORK
純正φ39用トリプルツリーを加工してφ41フォークを装着。インナーチューブにチタンコートを施工する。
GAS TANK
シートメタルが光るガスタンク。突起させたキャップ部が同店の個性で、前側フレーム間にはオーナメントを設置。
ENGINE
4-1/2ストローク・3-5/8ボアの93キュービックエンジン。ロッカーカバーやオイルラインなど見せ場は多い。
FRAME WORK
アクスル部分をループ加工したフレームワーク。ナンバーマウントの剛健な作りや裏側の処理に手抜かりはない。
MUFFLER
1インチ短くしたホイールベースに合わせて逆にマフラーを長めに設定。視覚的効果をかんがみて均衡を計る。
REAR END
ショート化したリアフェンダーはクラシックを表現したステーで支持。錆びにくいネオパーカー処理で完遂。
BUILDER’S VOICE
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