SUZUKI INTRUDER400 2003
A BEARD
奔放な発想と器量で創る
ストリート・ドラッガー
広島の老舗国産バイク販売店「己斐オートバイセンター」という顔を持ちつつ、バックヤードではエッジの効いたカスタムを数多く手掛けてきた『ビアード』。
今回紹介するのは、国産アメリカンの中でも比較的珍しいスズキ・イントルーダーをベースにしたカスタムだ。代表の上田さんがこの一台について話してくれた。
「たまたま中古でベース車が入ってきて。そのまま売ろうとも考えたけど、カスタムして売る方を選んだんです。せっかく作るなら『なんじゃこりゃ! すごいな!』って雰囲気の一台を作ろうと思ったんですね」
その言葉通り、このマシンには幾重もの驚きが隠されている。その筆頭がタンクだ。純正ではかなりファットなタンクだが、そのサイドのアールはカットされ、フラットな面を造形。更にエグりを入れることで、丸みを帯びていたタンクが一気にスパルタンなイメージに変貌した。
そして最もクレージーなパートは、元来メーター一式が鎮座しているはずのセンターから突き出したエアクリーナーだ。
「純正は右サイドに楕円のエアクリーナーが出ていて、そのままじゃ面白くない。何かいい方法がないかと考えて、『(上に)出しちゃえ』って。これが出来たときはニヤッとしましたね」と、相好を崩す。
ユニークなパートはダウンチューブにもあった。
「イントルーダーは水冷なので、普通ここには四角いラジエーターがあるんです。でもこれがあると普通のバイクになっちゃうので、これは違うものを造りたいなと。それでアルミの棒から削ってラジエーターを造ったんです」
水冷というカスタムの上で障害ともなりうる部分でさえ、手慣れたメタルワークと柔軟な発想力とで美点に換えてしまっている。
先述の加工によりシャープな印象に生まれ変わったタンクに合わせ、リアフェンダーもエッジのあるデザインで鉄板からワンオフで製作。フェンダーブレースを用いない代わりに、フェンダーサイドの内側には丸棒を這わせて強度を持たせ、タンデムにも耐える仕様にしている。こういった見えない部分で魅せる“粋”は上田さんの真骨頂だ。
外装に艶やかなソウルペイントをまとい、ストックから華麗に変身を遂げたイントルーダー。国産アメリカンカスタムというジャンルにおいて、新たな提案を投げかけるような、実に快活なマシンである。
(写真・文/マツモトカズオ)
SUZUKI INTRUDER400 2003 DETAIL WORK
AIR CLEANER
タンクから這い出るK&Nのエアフィルター。その下にはインジケーターとハイ&ロースイッチをマウントする。
RADIATOR
ワンオフのラジエーター。旋盤で削り出した苦心の作だ。「でも、こういうの作るの楽しいですよ」と、上田さん。
FRONT WHEEL
Fホイールとブレーキ周りはドラッグスター用。ホイール、ボトム、キャリパーは黒に塗装、足回りを引き締める。
GAS TANK
艶やかな赤をベースにしたソウルペイントはシックス・シューターが担当。サイドにはビアードの名を刻んだ。
MUFFLER
マフラーはワンオフ。このラインは最初から思い描いたものだったという。それを実現するのに奮戦した箇所。
SEAT
シートはスタッキー・トリムサービス作。上と側面の表皮を変えてコントラストを作り、赤ステッチで締める。
BUILDER’S VOICE
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