SUZUKI GRASSTRACKER
A BEARD
脱がないわけにいかない
カチッと入る人情スイッチ
かれこれ数十年に渡ってグラストラッカーのカスタムを手掛けて来ている。ライトなものからヘビーな依頼までを万全とこなし、地元ユーザーの期待値を上回るフィニッシュで親しまれてきた。
「まあ車両自体が小柄で、フレームから何から全部チョップして作ることも出来るバイクですよね。もちろんシートレイルだけの加工でも良いですし、どっちでもカッコ良くなるんで大好物です(笑)」
国産4メーカーとハーレーの車種を広範に扱う中で、代表の上田さんにとってグラストラッカーは特にお気に入りである。そして、今回のオーナーとは付き合いが古く、予算が厳しい中であっても惜しみなく熱量が注がれている。
「古くからのウチのお客さんで、結婚を機にいったん止めてたんです。でも虫が騒ぐ感じで作ってちょうだいってお願いされて。ちっちゃい女の子連れて来とったんですけど、予算聞いたらかなり厳しくて(笑)。でもそこをなんとかってお願いされて(笑)」
そうにこやかに話す上田さんの当時の状況が目に浮かぶようだ。馴染みの常連さんと可愛らしいお嬢ちゃんという組み合わせを前にして、ひと肌脱がないわけにはいかないだろう。はたして氏の人情のスイッチがカチッとオンに入り、出来うる範囲でのベストが尽くされることとなった。
そこでまず、オーナーの要望である『へんてこ』なイメージの下相談をし、ざっくりとバイクのラインを決めた上で作業に着手。シート下を頂点とした逆三角形のフレーム形状をポイントにして、コンパクトかつギュッと凝縮した装いを公開する。また、それに辺りシートレイル後方をカットしてアールを付け、シート形状に合わせてフレームを改装している点も刮目(かつもく)したい部位だ。
基本的には予算の都合上、在庫パーツを有効利用するが、リアフェンダーなどは単一で製作し、納得ゆくまで数個の試作を経て完成に漕ぎつけた苦心のパートである。他にもマフラーや電装ボックスもワンオフで、腑に落ちるまで徹底した意気がぶつけられた。
「今回作ったのは低予算というのがあったんですけど、やっていく内にこれはここまでやらんとカッコ良くならんとかで結局最後は赤字になってくわけなんですけど。まあそんなバイクです(笑)」
相手の顔を思い浮かべ、いつの間にか工具を握る自分の頬も緩んでしまう。どこを見て仕事をしているかが明瞭なビアードでは、どうやらひと肌以上脱いでしまうことが多々あるようだ。
SUZUKI GRASSTRACKER DETAIL WORK
FRONT FORK
フロントフォークとホイール共に純正を利用。ヘッドライトは汎用4.5インチのイエロータイプを装着する。
GAS TANK
ガスタンクはハーレーのスポーツスター用をセット。国産車にハーレーパーツを流用する引き出しの広さも強み。
FRAME WORK
緩やかな逆三角形を描くシート下フレーム。電装ボックスはスチールでワンオフし、表面にスイッチを設置。
SEAT RAIL
数個のボツ作を経て完成したショートリアフェンダー。シートレイル後方はカットされアールが付けられた。
MUFFLER
マフラーはトランペットタイプ。下側ジョイント部分をオフセットさせないと付かない為、角度を変え再構築。
NUMBER STAY
デザイン性を加味したオリジナルの片持ちナンバーステー。カスタムのアクセントとしても目を引く造形。
BUILDER’S VOICE
A BEARD
住所 | 広島県廿日市市住吉1-2-55 |
---|---|
電話 | 0829-32-5644 |
FAX | 0829-32-5144 |
SHOP | A BEARDのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 第1、3火曜日 |