
H-D FLH 1980
HI-WORKS motorcycles
男気で応える
背水の特別保護区
風通しの良いショップだ。作業場にお邪魔すると、お客さんと数人のスタッフが楽しげに談笑してて、一体誰がスタッフなのかは聞かないと分からないほどの一体感がある。垣根がないというか、角(かど)がないというか、どんなバイク乗りが入って来たとしてもすんなり迎え入れるような居心地の良さがただよう。

その妙な心地よさを提供している張本人が、主人の山口さんだ。多くを語らずとも店内の雰囲気を見れば一発で分かるように、とっぷり愛された存在なのは間違いない。
「自分が前の職場で作ったフレームが中古で出るっていう話があって、元々EVO(エボリューション)のロングフォークに乗っていたオーナーさんがそれで新しいのを作りたいと言ってくれて始まった感じですね」

古巣の東京チェリーズカンパニー時代に製作したフレームを、シングルダウンチューブにモディファイ。そこからオーナーの好みに合わせてタンクやフェンダーなどの外装をワンオフで用意していった。
「EVOの時も毎年のようにいろいろカスタムしてて、もうウチとは長いお客さんですね。でも最近は常連じゃないとフルカスタムとかは作らないようにしてて(笑)。もういっぱいいっぱいで受けられないんですよね」

でも常連であればその人の個性が分かる分早く、また、勝手に進められる部分もあるのがアドバンテージだと言う。なので、今回のオーナーの好みは既に山口さんの頭の中に大切に仕舞われているため、必要に応じてそれが引き出され、最良の答えがつむぎ出されていった。

さて、一番のポイントはナローのガーターフォークで、ブレーキがしっかり効くようにハブ周りも加工され、ブレーキラインはチューブ内を通して丁寧に処理。また、ほとんどの外装がワンオフされるなか、リアフェンダーなどはヘリのモール部分だけを残してメッキをかけた後にキャンディペイントを施すなどの手数を要したパートである。
「お任せみたいな感じだったんですけど、結局予算とかも度外視して作ってますね。フルカスタムってどうしても予算オーバーになっちゃうんですよ。だから常連じゃないと出来ないところもあります(笑)」

とはいえ、常連の数が多いのもつらい。ショップの空気感は店主の人柄に直結するもので、その心地よさに比例して自然と絶対数も増加してゆく。だから結局フルカスタムというのは、いつだって作り手泣かせの栄冠であり、依頼者への男気そのものとなる。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1980 DETAIL WORK

FRONT FORK
フォークはナローガーター仕様。確実な制動力を確保するためハブ周りを加工し、ブレーキラインはチューブ内へ。

GAS TANK
大ぶりの車格に合わせてガスタンクをワンオフ。加工物は慣れたもので、オーナーのイメージをそつなく具現化。

FOOT STEP
シンプル形状のステップ周りも単一で製作。乗るのが好きなオーナーに合わせて操作性良好なポジションを配備。

MUFFLER
アップスイープのスラッシュカットマフラーはアシンメトリーに設置。カスタムのアクセントに精彩を放つ。

REAR FENDER
フェンダーのフチにモールを取り付け、シッシーバーの造形に有機的なひと捻りを付加。細かい造作も同店の特長。

SEAT
純良なバランスで着地させたハイバックシートは埼玉県スカンクの仕事。乗りやすさへの配慮に余念はない。
BUILDER’S VOICE
HI-WORKS motorcycles
| 住所 | 岩手県紫波郡矢巾町藤沢8-4-13 |
|---|---|
| 電話 | 019-658-8892 |
| FAX | 019-658-8892 |
| SHOP | HI-WORKS motorcyclesのショップ紹介 |
| 営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
| 定休日 | 木曜日 |

H-D XL883
H-D SHOVELHEAD 1970







