HARLEY-DAVIDSON S&S SHOVELHEAD
BULL ORIGINAL
倍の手間を惜しまない
サグラドシリーズ
『神聖』という意味を持つスペイン語のSAGRAD。これは神奈川県横浜市のブルオリジナルが手がけるカスタムの中で、最高峰のシリーズ名である。そのSAGRADの称号がタンクに誇らしく描かれた最新作をご紹介しよう。
リジッドフレームにS&Sモーターを搭載した美しいチョッパーである。妥協の無い細部の作り込みが織りなすシルエットは、アーティスティックな存在感すら漂う。作り手のキメ細かな配慮が内包された、ワイルドとは対極に位置するジェントルな装いだ。
「このサグラドシリーズは2006年前後のホットロッドショーに出したフラットヘッドが一番最初で、そのあとは4台作ってるのかな。毎回ほぼお任せで作らせてもらってるんだけど今回もそんな感じ。まあ今のブルとして最高峰の物を作るわけだから一切気は抜けないし、納得してもらえる物にしないとね」
代表米澤さんの発した言葉は正に額面通り。ひとつずつディテイルを追うほどに、驚くほど手間暇をかけた事実が浮き彫りになる。タンクやフェンダーから見ていくと、これらリブを始めとした起伏のあるデザイン部はパテ盛りではなく全て鉄板とパイプを駆使して製作。かなりの時間を要したであろう造形は、作り手の並みならないコダワリの現れである。
ハンドルひとつ取っても只では終わらない。直線部分に特徴的なバンプ(段差)デザインが入るが、この箇所はまず無垢の鉄棒の外側を旋盤で削ることから始められた。そしてご覧の形に仕上げた後に、そのまま他のパイプと繋げれば良いものを、今度は無垢棒の中を削りパイプ状に。これはインナースロットル化のために必須な加工で、その後ようやく溶接でつなげられるわけだ。しかしまだこれでは終わらない。ペイントに関してもバンプ箇所を際立たすために、まずクロームメッキをかけた上でそこをマスキングして塗装を入れる徹底ぶりだ。
同じ発想はフレームにも見られ、まずクロームメッキを施した上で藤色に塗装。これは要所にスリットを入れてワンポイントにクロームを覗かせたいためで、そのビジュアル的な狙いの為だけにこの贅沢な手法が取られている。まったくもって氏の言う「最高峰の物にしたい」というテーマにブレはない。
「塗装にしてもひとつひとつのステーにしてもこだわってやってるんだけど、やり過ぎ感が表に出ないように注意してる。全体で見た時に、実はかなり手の込んだことをやってるんだけどそう見せないようにっていうのかな」
聞かなければ詳細まで知ることはないが、放たれる雰囲気からは何か尋常ならざるものを感じさせるチョッパーである。また、これほど派手なペイントにしても、それのみが浮くことはなく全体のフォルムと調和しているのが分かるはずだ。天性のバランス感覚を持つ策士のなせる業である。
HARLEY-DAVIDSON S&S SHOVELHEAD DETAIL WORK
HANDLE
旋盤を駆使して全部で5ピースのパイプを繋ぎ合わせたハンドルバー。クロームの上から藤色で塗装される。
FRONT FORK
パウコをベースに車体の水平基調を取るためにショートカットしてモディファイ。同系色のピンラインが入る。
GAS TANK
パテ盛り無しのタンクには京都KAMIKAZEによるペイントが入る。ウォータードロップがアクセントに効く。
ENGINE
S&Sの1340ccモーターにマグネトー点火のセットアップ。エアクリーナーカバーは同店のオリジナルパーツ。
MUFFLER
ステップはワンオフでペグはミスミ製。エンドにハンドル同様のバンプが入るマフラーは汎用を流用して製作。
REAR END
美しいリアビュー。ステーひとつとってもトップのオーナメントやマウント部などに意匠が凝らされている。
BUILDER’S VOICE
BULL ORIGINAL
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