YAMAHA XS650 SPECIAL 1981
2%ER
アンタッチャブルな
絶倫コンボフィーバー
ガレージ然とした店主山口さんの職場、ツーパーセンターに彼の子供がやってきた。確か、昼ご飯を買いに行くのにお金をもらいに来たんだと思う。そのときの一連のやりとりが、それはそれは良かった。ただ渡すんじゃなくて、しゃがんで視線を合わせた上で始まった、楽し気な『いじり』が愛情に溢れていたわけだ。
しかもそれは、一緒に来ていた友達にまで及び、その子の弁当代までを出すことに、「なんでやねん」的愚痴をこぼしつつも、実際のところは嬉しくってしょうがない様子。それはもはや、はたから見る人にも隠しようがなく、目の前で広がるほほえましい光景にホッコリが止まらない。
一事が万時、そんな人間味がバンバンに出た店主である。そこで早速、’81年式XS650スペシャルをベースにしたカスタムに話を振れば、いつもの聞きなれた、よく通る張りのある声が返ってきた。
「これは付き合いの長いお客さんの。古いもの好きはよく理解していたから、まあはっきり言ってガキくさくないような。ヴィンテージのバイクに乗ってる人が見ても良いなって思うような。そんなすっごいふわっとしたコンセプトで作らせてもらいました(笑)」
しかし、入口こそふわついていたようだが、製作工程は真逆の、ギチギチに考え抜かれたセクションで構成されている。例えばタンクにしても、マウント位置をそれこそミリ単位で吟味した上で納得ゆく位置に固定。スイングアームも同じく、5ミリ単位を1区切りとして、どれぐらい延長させるかをオーナーと一緒に素振りを繰り返して悩んだパートだ。
「コイルの位置もフェンダーの浮かせ具合も、もう何回も何回も打ち合わせをして作ったバイク。僕は全体のシルエットにこだわりがあって、引いてみた時にアイキャッチになる色が無くてもきれいやな、均整がとれてるなってバイクが好きなんです」
では、ディテイルに息づく氏の造詣を駆け足で見てみたい。フォークはハーレー用の74スプリンガーで、タンクはホンダのイーハトーブを流用。リアフェンダーはホットロッドカーの代表格であるフォードモデルAのスぺアタイヤカバーを半分に切って装着。そしてベルドメガホンのデッドストックマフラーは、エビカンと呼ばれる手法で輪切りにしたエキパイをつないでセットしたものだ。
この一式のコンボでも分かるが、携えた引き出しが多く奥行きがある分、繰り出される技には、なんともふくよかな濃くがある。
YAMAHA XS650 SPECIAL 1981 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークはハーレー用の74スプリンガー。ホイールはフロント19で、リアが前期型TX650用の18インチ。
GAS TANK
タンクはホンダの小排気量車イートハトーブを採用。そこに入るヴィンテージライクな塗装がアクセントだ。
SEAT
ハーレーKRタイプのソロサドルをベースにナロード加工。オーナーの希望で表皮無しのストリップ仕様とした。
MUFFLER
若干レーシーなマフラーはデッドストックのベルドメガホンと、エビカンでつないだステンパイプの成せる業。
SWING ARM
5ミリ1区切りで吟味したスイングアームは75ミリロングで着地。ショックはハーレー用のマクスポート製。
SISSY BAR
鉄の角棒を使い当時風のデザインでワンオフ。敢えて仕上げず、軽くバーナーで炙り艶消しクリアでまとめる。
BUILDER’S VOICE
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