トライアンフ T120R ボンネビル 1972のフラットトラッカー

TRIUMPH T120R BONNEVILLE 1972
LIBERTARIA

January 24th, 2018

泥臭さとエレガンス
シンクロする美の巨人

「これはお客さんの持ち込み車両だったんですけど、ほんとゴミでしたね(笑)。最初は動くようにして欲しいっていうオーダーから始まって、どうせやるんだったらしっかり仕上げようかって。だからもうイチから、お客さんを巻き込んでですね」

トライアンフ T120R ボンネビル 1972のフラットトラッカー

‘72年式T120Rボンネビルは、エンジンとフレーム、足回りだけが付いたスクラップ状態。それを格安で手に入れたオーナーが、まず不動のエンジンをかかるようにしてもらうため、リバタリア店主の藤久さんに作業を依頼した。

「ハーネスも何もないからそれを引くことからやって、電気やキャブをやり直したら意外とエンジンはかかった。でもさすがにガスケットやOリングは換えないとダメだから、一度腰上を開けて組み直したんです」

トライアンフ T120R ボンネビル 1972のフラットトラッカー

エンジンがかかるように、という第一段階はいきなりクリア。となれば当然、外装もビッと整えたくなるのが人のさがである。そこで早速、オーナー自らがどこかで買ってきたタンクとシートをフィットイン。すると、同店お得意のレーシーな雰囲気が一気に漂い出した。

トライアンフ T120R ボンネビル 1972のフラットトラッカー

「外装はフラットトラックレース用のヴィンテージパーツですね。それをペイントし直して、フレームにもメッキをかけた。だけどこのメッキがちょっと……(笑)。かなり大変でしたね」

メッキに関してもオーナー自らが手配し、自宅近くのメッキ屋に発注。しかし上がってきたのを見れば、ブラストのメディア(砂)が飛散した惨憺たるもので、フレーム内にもメディアが入り込んでしまっていた。それはオイルインフレームのこの車両には致命的だった。

トライアンフ T120R ボンネビル 1972のフラットトラッカー

結局、さんざん掃除した上でエンジンを組みなおし走ってみたものの、それでもまだメディアが残っていたらしく、それが原因でオイルポンプが詰まってまさかの焼き付き。チーン、である。そんなドラマを経てどうにかこうにか出来上がった車両なだけに、作り手の思い入れも大きい。

「まあ業者に振り回されたというか。でもお客さんとの絆は深まりましたよ、一緒に苦労したから(笑)。すごい器用な人なんで、自分の家に塗装ブースを作ってペイントしたり、プライマリーの穴あけとかもそうですし」

トライアンフ T120R ボンネビル 1972のフラットトラッカー

ショップ主導ではなく、オーナーと二人三脚で製作した珍しいカスタムの形がここにある。ゴミ同然のスクラップを「走るようにして欲しい」、という前のめりな要望から始まったストーリーには、人任せではないオーナーの、弾けるような全力がたっぷりと詰まっている。

TRIUMPH T120R BONNEVILLE 1972 DETAIL WORK

トライアンフ T120R ボンネビル 1972のハンドル

HANDLE

昔製作したオリジナルバーはフレームと一緒にニッケルメッキをかける。メーターはスミス・クロノメトリック。

トライアンフ T120R ボンネビル 1972のフロントフォーク

FRONT FORK

フォークは名品、セリアーニオールドGP。ライトはベイツのサイドマウントで、カンリン製ドラムを装着。

トライアンフ T120R ボンネビル 1972のガスタンク

GAS TANK

オーナーが手に入れたタンクはオマーズ製に似たメーカー不明品。白のベース塗装もオーナー自らが担当した。

トライアンフ T120R ボンネビル 1972のマフラー

MUFFLER

マフラーはヴィンテージのイングランドMCM製DTパイプ。フットステーのスロッテッドもオーナーによる加工。

トライアンフ T120R ボンネビル 1972のプライマリー

PRIMARY

プライマリーの穴あけもオーナーによる作業というから驚きだ。ショップとのこうしたアウンの呼吸が見事だ。

トライアンフ T120R ボンネビル 1972のシートカウル

SEAT COWL

タンク同様に、メーカー不明のフラットトラックレース用ヴィンテージパーツ。ひと波乱あったメッキフレーム。

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