SHOP SAMS
鈴木 修 Osamu Suzuki
INTERVIEW
November 18th, 2024
今ほど幅広いカスタムファンに認知される前から、『FRISCO(フリスコ)スタイル』の人気の震源地として名声を誇ってきた宮城県仙台市。米国サンフランシスコ発祥の伝統的なチョッパースタイルを、日本の風土に合うよう再構築したそのオリジナルスタイルは『仙台チョッパー』とも呼ばれ、先輩から後輩へ。仙台から全国へと波及していった。
そして、その孤高に君臨するのがショップサムズのオサムさんであるのは周知の通り。まばゆいショーチョッパーとは対極に位置した、危うくスリリングなストリートスタイル。それら攻撃的タフネスをも内包したチョッパーは、サムズにしか醸し出せない固有の雰囲気を放出。これほどストリートが似合うチョッパーはざらにない。
オサムさんとはいったい何者か。ここで禁断のインタビューを敢行したい。ひょっとしたら肩ひじ張った気難しいチョッパービルダーを想像していた人もいることだろう。でも残念ながらその答えはNOだし、かと言ってフレンドリーともちょっと違う。その次元では計れないことだけは確かだ。
幼稚園から完全に
バイクとUFOだった
ー 今日はいろいろと聞かせてください。ではまず、バイクに興味を持ったころの話から教えてもらえますか?
■ 物心ついた、3歳ぐらいからだね。
ー えっ⁉ 3歳ですか?
■ 物心ついた時はもう、俺の記憶ではバイク好きでしたね。だってあれだよ、幼稚園で描いてた絵はバイクだもん。あとUFO。
ー お! すでにUFOも(笑)。
■ そう。完全に。どっちも。おもいっきり。
ー その辺の興味は家族の誰かの影響なんです?
■ たまたまですね。家族、まあ兄貴とかバイク乗ってたけど、それに影響されたってことはないかな。
ー ほんとにもう物心ついたときにはバイクが好き過ぎたと?
■ 好き過ぎた。仮面ライダーだね、単純に。仮面ライダーとかバイクじゃん。ねえ?
ー 3、4歳からなんとなくバイクが好きに?
■ もうバイクのことしか考えてないね。幼稚園のときは完全バイクと、UFO。
ー なんでまたUFOだったんです?
■ てかUFOだし、宇宙。ずーっと空見てた。
ー なるほど(笑)。
■ ハー、ハー、(※荒い息遣いで)つって(笑)。どうなってんだこれっつって(笑)。
ー そんな小さい頃から未知なる生命体に対するワクワクがあったと?
■ あったね。あの、なんつうのかな、多分これはココにあるし(※手元にあった工具を触って)、硬いって分かるけど、ほんとに分かんないのって空(笑)。なんだか分からない。どこまであるみたいなさ。そういうのをすぐ考えちゃうの。もう突き詰めたいっていうか「ああこれはこうでこうだからこうでしょ」「だからこうなったんだなるほどね」的なね。
ー そういうことですか。
■ そうそうそうそう。でも「なるほどね」にはなんない。空に関しては。だってどこまであるか分かんねえんだもん。
ー それこそオサムさんが今50代後半になるまで「なるほど」がなく来てるんですね?
■ 完全に子供の時のまんま。永遠の謎。誰も分かんねえもん。誰も行ってないし。めっちゃ近所までしか誰も行ってないし。
バイク好きのオタクで
小6ごろから黒人音楽だね
ー ちょっとバイクの話に戻すんですけど(笑)。
■ ハハハッ(笑)。
ー 一番最初に乗ったバイクは?
■ MR50、ヤマハの。あれは中学校かな、買ったんだよね。ちゃんと。乗りたくて。
ー 当時はヤンチャだったんですか?
■ ヤンチャじゃない。全然真面目。どっちかって言ったらオタク系。
ー バイクが好き過ぎるオタク?
■ そう。
ー そのころ同じようにバイク好きな仲間っていたんですか?
■ いないいない。だから完全に浮いてたし、とにかく趣味とかは誰とも合わなかったね。音楽もそうだしね。あと音楽だね。中学校っつったらもうほんとに音楽。
ー どんなのを聞いてたんです?
■ 黒人音楽。例えば、まあブルースもそうだけど、あとソウルとか。スティービーワンダーとか、コンサートとかも行ったもんね。中学校のとき。仙台の。
ー なんで中学生の時でそんなにイケてる音楽を?
■ イケてる……いやいや、音楽に関してはやっぱ兄貴が俺んちいたから。で兄貴の部屋とかにさ、やっぱりレコードがあんだよね、なんとなく興味あって聞いてみたりとか。そうするとやっぱ当時流行ってた日本の歌謡曲とかより全然カッコいいし、ちゃんとした音楽で、やっぱそう外人の、アメリカだよね。アメリカの音楽にしか興味ないみたいになっちゃった。
ー 当時、白人じゃなくて黒人が好きだったんです?
■ 黒人から俺始まったねなんか知んないけど。黒人音楽最初に好きで、そっから白人も聞くようになって、やっぱブルースとかソウルとかああいう感じのね。黒人のノリがやっぱ好きだったっぽいね、ちっちゃい時。ちっちゃい時って小6、中1とか。
最初はカワサキで
古着屋からハーレー
ー そういう黒人音楽や学校では浮いた存在で来て、ハーレーにはどういう風に?
■ ハーレーはあんま興味なかったんだけど、やっぱカワサキとかさ、Z2とかそういう方が俺好きだったね国産車。ずーっと。で19か18歳くらいの時に周りがみんななんていうのかな、アメカジっていうかその頃は最初みんなあれだよね、ロックンロールみたいなさ。リーゼントしてフィフティーズみたいな。
ー フィフティーズファッション全盛のころで?
■ 映画でいったら『アウトサイダー』。ああいう感じでみんな、先輩とかさ、あと同級生とか全然学校ばらばらだったけどそういう古着屋さんがあったの。みんな行きつけの。そこで知り合いになった。ちょっと年上下でいろんな学校の人たちがみんなそういう格好してて、でまあアメリカの不良みたいなスタイルが好きで、研究していく内に今度バイクってなって。やっぱそこでハーレーなの。
当時1800円の洋書を
見まくって興奮してた
ー そこで?
■ そう。でハタチのときにハーレー買ったの。’89年のソフテイル。
ー そのソフテイルはどんな感じで乗ってたんです?
■ それはね、まあすぐ改造しちゃったんだけどね。それはこういう感じ(※目の前の黄色いチョッパーを指して)で乗ってたの。これは一応俺がそん時乗ってたバイクの再現ていうか、なんかこう違うけどね。でもなんとなくこういうバイクだった。
ー 当時はそういうチョッパーのセンスってどこから来てるんです?
■ ああ雑誌雑誌、アメリカの。『アイアンホース』とか。アイアンホースで全部勉強したよ。
ー バイクが好き過ぎるオタクのまま成長して?
■ オタクだし、見まくるし。で日本の雑誌じゃちょっと「あれ違うな?」みたいなさ。いま見れば面白いけどね。当時はやっぱアメリカのリアルな情報しか興味なかったから。そうするとやっぱ仙台にも丸善書店あったから、そこに洋書売ってんのさ。でアイアンホースね、1800円とか高かったんだけど。
学校卒業してプリント屋
その2年後には店を始めてた
ー なるほどそういうことですね。では今度『サムズ』を始める経緯は? その前は何をしてたんです?
■ あれだよ、Tシャツのプリント屋さんに勤めてた。シルクプリントの。俺18とかだからもう38年前とかの話。
ー 18歳から働き出したんですね?
■ 高校卒業して、で最初に働いたのそこで、プリント屋さん。ですぐ覚えたから、プリント。これ自分で出来るっつってね、でサムズ始めたの、2年後に。
ー 最初サムズは洋服屋スタートでしたよね?
■ 最初洋服屋っす、プリント、Tシャツとか作ってた。
死ぬほどバイク好きな
アウトローからの影響
ー じゃあ洋服屋から始めてバイクはどの辺から始めるんです?
■ バイクはそこから3年ぐらいしたらなんとなく始まったかな。結構早いね。だから1992年ぐらいにはもうやり始めてたと思うけどね。
ー 洋服もバイクも同じ熱量で好きだったから当然といえばそうですよね?
■ うん、やってくれるとこ無かったしね。
ー そういう流れもあって徐々に自分でバイクをやるように?
■ そうそうそうそう。
ー そこからサムズのチョッパースタイルはこうして今確立されてるわけですけど、当初はアメリカのどんなカルチャーから影響を受けてたんです?
■ それはもうやっぱりアメリカのアウトローの連中のバイクだよね。カッコいいもんねやっぱね。
ー そこが大きいですか?
■ 大きいね。であの人たちってアウトローだけど、その前にやっぱ死ぬほどバイク好き。もうやっぱ死ぬほどバイク好きで、なんだろう、レースとかなんでも好きじゃん。バイクに乗ることはもちろんだし、あとそのレーシングバイクを見たりとか、そういうのも自分のバイクにフィードバックさせたりとか。だからそういうのカッコいいんだよね。
ー 確かに筋がね入りの人たちってカッコいいです。
■ そう。でやっぱそういったアウトローバイカーは愛国心が強い人達だからハーレーに乗るよね。そこに当時のAMA(※全米モーターサイクル協会)のレースの感じのブレーキ、APレーシングとかさ、ロッキードみたいなの付けたりとかそういうのがカッコいいよね。そこにすごい惹かれたね。
ー なるほど。
■ あとインディアンラリー(※今は亡きNYの伝説のチョッパービルダー)カッコ良かったよねやっぱり。初期のインディアンラリーね。サイコサイクルズやる前の、インディアンラリーカスタムサイクルズ? みたいな名前の時の。そういうのが結局’70年代後半ぐらいからあるから、そういうのにやっぱり憧れたね。
洋服もバイクも
両方やんないとダメだね
ー 当時洋服屋から始めてバイクもやるじゃないですか。やはりどちらが欠けてもサムズではないわけですよね?
■ ねえ。ずーっとなんか二足のわらじみたいな感じで、まあどっちもやっぱりやんないとダメだね。
ー どっちもあってのサムズだと?
■ うんうん。やっぱ洋服はずっと好きなんで。まあたいしたものは作ってないけど、でもやっぱずーっと、なんつうの、表現出来るしね。Tシャツにしてもデザインひとつにしても作るの好きなんで。難しいけどすごく。
頭の中にある
飛び級の不良の文化
ー 次はチョッパーの話を聞きたいんですけど、サムズにはカッコいいとしている価値観がビシッと芯にあるから、それが柱になって組み立てられていく感じですか?
■ こういうの?(※目の前の黄色いチョッパーを見て) まあこういうのって何の変哲もないじゃんね。シンプルなだけだよ。
ー いやいや(笑)。結局このスリリングな雰囲気も含めたスタイルはどのショップもそう簡単に作れるものではないです。
■ ああそうかな。まあそんなサムズもアメリカの真似だからね。うん。カッコいいアメリカ人が作ってきたバイクの。たくさん見てきて、その流れを一応自分で分かってるつもりで、うん。でも今は一所懸命見てないけど何年も、10年以上とか。下手したら20年とか。もうどういう感じでやればカッコいいみたいなのは一応頭にはあるから。
ー そういうことですね。
■ うんうんうんうん。ただ「じゃあそれどっから来たの?」っつったらやっぱカッコいいね、本場の連中が作ったバイク。死ぬほどカッコいいの沢山あるからね。あった。昔はね。そういうやっぱ不良の文化だもんね。
ハーレーもカワサキも
どっちも超カッコいい
ー 野暮なことを聞くんですけど、オサムさんが毎日チョッパービルドをしててテンション的にもいつも高くて楽しんでるんですか?
■ ああ楽しいっすよ。だからいまメインの仕事ってほとんどマコト(※ショップスタッフ)がやってんの、お客さんの、ちょっとした整備とか。で俺は今自分で乗りたい作りたいバイクしかやってないすよ。
ー 好きなことに専念できる環境があるわけですね。
■ 頭のなかに作りたいなって題材が結構あるからさ。バイクもあるし、倉庫に。2、3台あんのよ。カワサキだったりさ国産もあるし、あとはFXRもケニーボイスフレームのやつとかさ。
ー そんなのが控えてるんですか。じゃあもう作りたいのがどんどんどんどんあるわけですね。
■ あるねー、なんなら今乗ってるカワサキのターボあるんだけどそれとかもやりたいもん。足周り。もう部品とか用意してあんだけどさ、ダイマグみたいなホイールとか。
ー ハーレーと並行してカワサキもやっていくと?
■ 国産車、だって当時の国産車アメ車だもんね、完全に。日本車だけどテイストは完全にアメリカなんで。超カッコいい。
ー それはどっちがどっちじゃなくて両方とも超カッコいい。ハーレーも。
■ どっちも超カッコいい。おんなじ。バイクのオーラっていうかそれはおんなじだね。乗り味は真逆だけどね。ただどっちも負けないぐらいフィーリング楽しいし。カワサキの1000ccなんかトルクあってさ、ビリビリビリビリッ!ってこうタイヤトラクションかかる感じとかね、楽しいもんね。
ー カワサキは外装をそれほどイジらずに?
■ あれは完成され過ぎてるんでね。だから結局、マッスルカー’60年代とか’70年代とかの外装もイジれないもんね。
やっぱ世代は変わってくよ
もうオジさんだよオジさん(笑)
ー 最近なにか注目してることってあるんです? バイクショップでもビルダーでもエンタメ系でもなんでも良いんですけど。
■ バイクはないかなー。逆になんかそういう人出てきて欲しいけどね。なんかずーっとあいつらカッコいいなっていうのね。今まではずーっとあったけどなんか無くなってきたよね。年取ってきたからかな?
ー うーん。憧れる側から憧れられる側に入ってきてるからじゃないですか?
■ どうなんだろう……そんなことないよ。全然そんなことないよ。そんなことない。
ー いやいやあると思いますそれは。
■ ないない。オジさんだよ。オジさんオジさん。まあ40歳オーバーの人たちはある程度良いよねって言ってくれる人もいるけどね。でもいやいやいやいや、やっぱどんどん世代が変わっていくね。「サムズってなんか聞いた時あるけどなんだっけ?」みたいな。ぜんぜん知らない人いるよ、ぜんぜん(笑)。
毎日が最高な思い出
これ以上の望みはない
ー ちょっとピリッとした話も聞きたいんですけど、今までの人生で一番ハードな経験ってなにかあったりしますか?
■ ないですね、特にないね(笑)。
ー じゃあ逆に、今までで一番最高な思い出ってどんなのがあります?
■ ああ……いや、常にじゃない。俺結構もうやりたいことやってるし、やりたことやれてるし、もう、なにかな。ああやってマコトみたいな真面目なスタッフもいてくれたり、あと良いお客さんもね、来てくれてるし。体もちゃんと動いてるし、それ最高。
ー 毎日最高な感じを更新し続けてるんですね。
■ そうそうそう、やれてっから。特にでっかい病気もしてないし。事故って大変な感じとかにもなってないし、だから最高だけどね。これ以上は望みないんじゃないすか(笑)。まあもう感謝だよね。
チョッパーの良し悪しは
やっぱり乗り手も含めてだね
ー 最後に。ずばりオサムさんにとってチョッパーとはなにか聞かせてもらえます?
■ チョッパーってカッコいいバイク(笑)。ハハハハハッ! カッコいいバイク、超カッコいいバイク(笑)! 「うわーっ!」ってなるね、「ヤベえ!」って(笑)。ヤベえはでも乗り手も含めてだね。なんかちょっとひと言小難しいこと言うとしたら。うん。
ー でもそこ肝心ですね。
■ バイクはヤバいのいっぱいあるけど、やっぱ乗り手も含めて。っつーか乗り手が大事だよね逆に言えば。結局そこだね。やっぱ乗ってる人間の雰囲気とかオーラ。そんなのは別にね、ハーレー1年目の人も30年目の人も関係なく。楽しんで乗ってる人も最高だしね。
もちろんバイク好きだけど
それよりもっと好きかも(笑)
ー ではもうひとつ、オサムさんの趣味というか未確認物体の話も少しもらえます?
■ 未確認物体はもちろん趣味で、もうずっと気になってっけど、子供の頃から。でも最近はもうそれ通り越しちゃって、やっぱ不思議なことってたくさんあるね、この世の中。だから例えば、人間とかね、生命とか。あとさっき言った宇宙とか。地面の下もよく分かんないし、だからもっと身近なとこの不思議なもの不思議なことも、そこが実は激ヤバなんじゃねえかって。空間とか。結構いろんなことあるっすよ。不思議なこととか。
ー ちなみに、ボクが小っちゃい頃にグレイ(※世界中で最も多く目撃されている宇宙人)に遭った話を大真面目に聞いてくれたのはおふくろ以外にはオサムさんだけでしたね。
■ はいはい。それって、やっぱりああいう生き物って、ちょっと次元が違うところにいるような感じがするのよ。あと幽霊とか妖怪とかそういうのもひっくるめて。もう目で見えることでそれしかねえって当たり前のように考えてっけどそんなの大間違いで、もうとんでもないことになってると思うのよ同じ空間でも。次元が違うだけ。
ー っくー! 謎過ぎます。
■ でそこに周波数合わせられるような特殊な能力あるような、言ったらちょっとした超能力者とかすんごく勘が鋭い人がもういやでもちょっとピッと合っちゃって、なんかの拍子に。でなんかそういうのがふっと見えたり……
(※興味がない人には危険水域の、かなりドープな会話が続くのでここで割愛)
■ だからまあバイク好きですけど、俺は、音楽とそっち系の話の方がもっと好きかも(笑)。だからマジで思うけど、そっち系の研究してる人とかとほんっきで話しをしたい。「いや実は俺こういうことあんだけどどうなんですかね?」みたいな。すーっんごく興味ある(笑)。
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