
H-D S&S SHOVELHEAD
NUTS CUSTOM CYCLES
女性メカニックが愛でる
アンタッチャブルな6輪唱
重心を低く落とし、フロントエンドをすらり前方へと伸ばしたチョッパー。通常のロングフォークとは一風違うロースタイルのシルエットに個性が宿るが、意識を向けたいのはそこだけではない。
聞けば女性がオーナーであり、彼女は整備もできる『ナッツ』のスタッフである。

スタッフの平岡さんがツインカムから乗り換えたこちらは、ざっくりしたカスタムイメージを代表の薦田(せんだ)さんに伝えることから始まった。
「なんか地面に引っ付いとるみたいで三角定規の長い方みたいな感じで(笑)」。思わず頬がゆるんでしまうような女性特有のしなやかな描写を受け、歴戦の薦田さんは実に巧みに、そのふわりとした要望をカタチにしていった。

「ジャンルとかそういうのは考えてないと思うんですよ。タンクやハンドルはこういうカタチが良いとか。部品部品ああしたいこうしたいで作っていったバイクです。なんでいろいろ聞きながら、こういうことかなって部品を付けていきました」
結局、乗る人がイメージしていることに近付けていけば、作り手がお任せでやっても作れないカタチが出来上がると言う。その方が良かったり面白い物ができる場合があると、氏の柔軟な姿勢は健在だ。

そして今回もガスタンクやマフラー、フォークなど、それぞれの意見を交差させることで、平岡さんの頭の中にあった曇りがかった形象はパッとクリアに拓かれている。
例えばガスタンクひとつ取って見ても、型紙や絵を描いて相談された形状をまずは鉄板にトレース。それを鈑金加工でカタチにしていく過程では、物理的に不可能なことへの助言と、一方で、プロとしてより良い造作になるよう惜しみのない心気が注がれた。
この辺はひとつ屋根の下で働く互いの信頼関係と、矜持のなせるわざであろう。

「彼女は整備をやれるんでこのホイールのスポークとかも一回バラシて、磨いて、メッキ屋出して、組み直して、振れを綺麗に取ってを全部自分でやっています。基本配線とかもできるんで僕がやるのは溶接とか変わった加工とかですよね」

聞くほどに、予想の斜め上をいく返答だ。女性整備士でこのロングフォークチョッパー乗りということだけで感慨もひとしおだが、更に、車も愛でてるらしく所有は45年製日産グロリア、いわゆるタテグロである。
アメ車や欧州車でもなく、ましてや現行国産車でもないところに彼女の乗り物に対するアンタッチャブルな感性の豊かさが現れている。
HARLEY-DAVIDSON S&S SHOVELHEAD DETAIL WORK

HANDLE
V字ハンドルに合わせてライザーも同様にV字でマウントできるよう設置。ライザーボトムなど意匠が凝らされる。

FRONT FORK
上方ではなく前方へパウコ製10インチオーバーのスプリンガーを装着。ライトはNICE!MC製2連タイプを。

FRONT WHEEL
ツイストスポークが取寄せ困難のためバラシて磨きメッキ処理。組み直しと振れ調整はオーナー自身が行った。

GAS TANK
アールと鋭角部を織り交ぜたプリズミックタンクは、オーナーの希望を更にブラッシュアップさせて具現化。

REAR FENDER
フェンダーひとつ見ても丹念な作り込みで構築。ボルト留めしないでもシートが収まるように端整にモディファイ。

REAR END
低く長いディガーライクなスタイルを加味しディッシュホイールを配備。ショートマフラーはターンアウトに。
BUILDER’S VOICE
NUTS CUSTOM CYCLES
| 住所 | 愛媛県四国中央市土居町蕪崎2634-2 |
|---|---|
| 電話 | 0896-74-8275 |
| FAX | 0896-74-8275 |
| SHOP | NUTS CUSTOM CYCLESのショップ紹介 |
| 営業時間 | 9:00 ~ 18:00 |
| 定休日 | 水曜日、第1・3日曜日翌月曜日 |

H-D FLSTF 1996
HONDA CB750 F2 1977




















